Step3. どのような資料があるのか探す(文献調査)
テーマが具体的になったら、それに関する資料を探していきます。
(なお、以下の内容は、Step1・Step2の段階における資料漁りでも共通して使えるものです。)
資料の種類と調査用ツールの選択
文献となる資料には、図書、雑誌、新聞、Web情報など、様々な種類があります。
それぞれ形態や内容のあり方に特性があるため、探す際は資料の種類に応じて調査用ツールを使い分ける必要があります。
図書/雑誌/新聞の違い
図書・雑誌・新聞、それぞれの資料としての特性を踏まえておきましょう。
情報の鮮度(新しさ)を重視するのか、確度や体系性を重視するのか等によって、あたるべき資料は異なってきます。
資料に応じてツールを使い分けよう
欲しい情報が収録されている資料の種類や内容、分野、年代の範囲などを確認して、目的にあったツールを選んでください。
複数のツールを使って情報を補完すると、より信頼性の高い結果を得ることができます。
書誌情報
書誌情報とは、タイトル・著者名・出版者・発行年月など、その資料を他の資料から識別するための項目です。
書誌情報も、図書・雑誌・新聞・Web情報など、資料の種類によって形が異なります。それぞれの書誌情報の形を理解していると、例えば、参考文献リストの中に自分が読みたい資料がある場合、その文献資料が図書なのか雑誌論文なのか等を判別できますから、どの調査用ツールを使って探せばよいのかが分かります。
書誌情報から資料の種類を判別する
書誌情報の書き方には、様々なスタイルがあります。ここでは日本語文献についてMHRAスタイルで書かれている例を挙げてみます。
単行本(和書)
《例》山里勝己『場所を生きる-ゲーリー・スナイダーの世界』(山と渓谷社、2006)
※日本語の書籍の場合、出版地は特定しないのが普通
※書名『』で囲む
雑誌中の論文(和文誌)
《例》金城やす子「教え・学び合う『課題学習法』を活用したピア・ラーニング-少児看護方法論の取り組みと評価」『看護教育』55.5(2014),382-388.
※雑誌に掲載されている論文の書誌は、以下のような特徴で図書(単行本)とは区別できる。
- 巻号数が付与されている
- 出版者の記述がない
- 開始ページが示されている(学術雑誌の論文のページ番号にはpp.は不要)
新聞記事
《例》吉川安一「「しまくとぅば」正しく一音声・文字言語の媒介が不可欠」『沖縄タイムス』2014年9月24日朝刊,p.5
webサイトの中の記事
《例》「リサーチ・ナビ」『国立国会図書館ホームページ』,<http://rnavi.ndl.go.jp>[2015年4月3日閲覧]
※WEBサイトを引用する場合は、web上の住所を示すURL(Uniform Resource Locaiton)が明記されている。
※WEBサイトは変更されることがあるため、閲覧した日付が付記されている
レポートや論文を書く際には、文中で参照・引用した文献は、典拠としてその書誌情報を明記しなければならないというルールがあります。
ですから、下調べの段階を含めて、参考になりそうな資料をみつけたら、その時点でとりあえずリスト化しておきましょう。そうしておけば、何度も同じような検索をしなくても済みます。
執筆の過程で実際には使わなかった資料があったら、それをリストから取り除いて体裁を整えるだけで、そのまま参考文献リストとしてレポートや論文に掲載できます。
書誌情報の書き方には様々なスタイルがありますから、どのスタイルで書くことが求められているのかを確認し、それに従って書いてください。
参考文献の書き方には国際的なスタイルが様々にあります。文系ではMLA、MHRA、 シカゴ書式、APAなどがありますし、理工系ではNLM(MEDLINE)、ACS、IEEEといったスタイルがあります。 日本国内の科学技術分野では、科学技術情報流通技術基準(SIST) で定めたスタイル(SIST02)が標準的な様式とみなされています。
資料の探し方
大きく3つの方法に別けられます。
参考文献リストから探す(芋づる法:重要度がわかる)
ある文献(情報)を出発点として、そこに引用されていたり、参考文献としてあげられていたりする文献を手繰っていく方法です。
図書や論文には、章末や最後に参考文献リストが記載されています。それを見ると、その図書や論文がどのような資料を参考にして書かれたのかを知ることができます。いくつかの図書や論文を読んでみて、頻繁に引用されている文献やその執筆者は、その分野においては高く評価されていると判断できます。
ツールを使って探す(索引法:系統的・網羅的にたぐる)
各種の調査用ツールを使って探す方法です。このようなツールは、レファレンス資料とかレファレンスツールなどと呼ばれます。
この種のツールは、その用途によって様々な種類があります。使う際は、それぞれのツールの特徴を理解し、自分の目的に合ったものを適切に使い分ける必要があります。
図書館の書架や書店で直接、資料を漁る方法です。思いがけない情報に出会えたり、ヒントがひらめいたりすることがあります。
また、ごく直近の情報が欲しい場合も、現物・原情報にあたるのは効果的です。なぜならば、直近の情報は索引法では探しだせない場合があるからです。(ある情報が索引化されるまでには一定の時間を要するため) ただし、この方法での探索が有効なものとなるには、索引法による体系的な調査をしていることが前提となります。
索引法をメインに
情報探索をする際は、索引法を中心に、芋づる法を併用し、必要に応じて現物にあたる、というやり方がお勧めです。
索引法を使うと、調査したい対象とある程度の関係付けがされている情報のまとまりを得ることができます。その上で、さらに自分にとって関心の高い情報に対して、芋づる法によって情報を手繰ることができます。この場合の芋づる法は、たまたま見つけたものを手繰っていくというものではなく、索引法によって得た情報を基盤としていますから、“偶然性に左右される”面がある芋づる法の弱点をカバーすることができます。