図書館における複写(コピー)と著作権
皆さんが図書館で利用する複写サービスは、著作権法第31条第1項に基づいており、その要件を満たす範囲でのみ、著作権者の許諾がなくても、様々な著作物を複写することができます。
ここでは、皆さんが当館で複写をとろうとする際、この著作権法の要件がどのように関わってくるのか、よくある場面を取り上げてみました。
- Q.どうしてコピーをとる度に申込書を書かなくちゃいけないの?
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A. “図書館が複写サービスの主体となる”必要があるからです。つまり、図書館が皆さんに複写物を提供する、ということです。
ですから、図書館によるチェックが全くない状態で皆さんが複写をとる、という状況はあってはならないわけです。
そこで、事前に複写申込書を記入・提出してもらい、複写内容が著作権法の要件を満たしているか、図書館スタッフが確認する形をとっています。
Q.どうして図書館で所蔵している資料しかコピーできないの? -
A. 図書館の複写機は図書館で提供する複写サービス専用として設置されています。そして、複写サービスで複写の対象となる資料は“図書館等の所蔵資料に限定”されています。
※ただし、ILLサービスで他の図書館から借り受けた資料については、ほとんどの場合、複写することができます。
Q.どうして全部コピーしちゃいけないの? -
A. 複写していい範囲を“著作物の一部分”としているからです。
“一部分”=半分まで、というのが、一般的な解釈とされています。注意したいのは、“一部分”とは“著作物”の一部分であって、“資料”の一部分ではない、という点です。
例えば、論文集であれば、論文集に収録されている個々の論文が著作物にあたりますから、複写できるのは論文集全体の半分までではなく、個々の論文の半分まで、となります。
※ただし、俳句・短歌・事典の1項目などの小さな著作物については、一部分ではなく全てを複写してかまいません。
- Q.どうして雑誌は、最新号でなければ記事を全部コピーしていいの?
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A.“発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物にあっては、その全部”を複写してよいと規定しているからです。
“発行後相当期間”とは、“次号が出されるまで”あるいは“発行後3ヶ月経過しても次号が発行されないものは3ヶ月経過後”という意味で運用されています。
ですから、例えば季刊誌や年刊誌の場合、発行から3ヶ月が過ぎれば、次号が発行されていなくても、著作物の全体を複写できます。
- Q.どうして同じものを複数部コピーしてはいけないの?
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A.“一人につき一部”と規定されているからです。
電子文献のダウンロードの際も同じです。保存は個人で利用する場合のみ可能で、第三者への再配布は禁止されています。
著作権法35条1項に基づいて当館では以下の形で運用しています。
教員またはその代理人が、講義のために複数枚コピーする |
○ |
学生が受講者の人数分をコピーする |
× |
【参考文献】
日本図書館協会著作権委員会「著作権法第31条の運用に関する2つのガイドライン」『日本図書館協会ホームページ』
http://www.jla.or.jp/library/gudeline/tabid/239/Default.aspx[2016年2月3日閲覧]
国公私立大学図書館協力委員会大学図書館著作権検討委員会「大学図書館における著作権問題Q&A」第8版『国立大学図書館協会ホームページ』
http://www.janul.jp/j/documents/coop/copyrightQA.pdf [2016年2月3日閲覧]