母性看護領域の鶴巻先生からバトンを受けた、地域看護領域の島袋です。前職は行政保健師として住民の病気予防や健康づくりのための、保健指導や健康教育を業としてきました。大学での研究においても住民の病気予防や健康づくり、保健師活動に役立つ研究を信条としています。沖縄県の健康状況は働き盛り世代の早世が大きな課題です。特に離島では過剰飲酒により働き盛り世代の健康が危うい状況にあります。そこで、住民が自ら判断して健康な行動がとれるようになる力、ヘルスリテラシーを向上させるにはどうすればよいかをテーマに研究を行っています。
2018年の離島伊江村での働き盛り世代のヘルスリテラシーを測定する調査結果から、伊江村の住民には、健康情報を得る際に活字を使用するよりは、情報を見える化する方法が効果的であることが分かり、さらに地域文化として芸能の盛んな地域であることから、健康教育プログラムには、村民や行政、大学が協働して創作した健康劇を見て楽しく学び、肝臓エコーを使って住民本人が自分の肝臓の状態を知り、肝臓を守る健康行動を取ることで肝臓の状態がどう変化するかを本人が見る方法を用いた健康教室は一定の効果が得られました。
また、島内に高校がない小規模離島では「島立ち」という文化があり、子ども達は中学を卒業すると高校進学のため島・親元を離れます。子ども達は、それまで島で親や学校、周囲の人々から大切に育てられますが、島外に出ると情報過多の環境の中で自分の力で生活していくことになります。この子ども達が将来100年も自分で健康を守れる大人になってほしいと願いをこめ、現在、中学生を対象にヘルスリテラシー、情報リテラシーを向上させ、批判的思考を高める健康教育のプログラム開発の研究に取り組んでいます。
離島中学校での「人生100年を健康に生きる離島中学生のヘルスリテラシー教育プログラムの開発」の研究活動の様子(2022年12月)
島袋 尚美(人間健康学部 看護学科 准教授) 【人物紹介】 |