沖縄の公立大学 名桜大学(沖縄県名護市)

研究コラム(つながる、つなげる教員の輪)研究

琉球文学の船を編む

照屋 理/国際学部 国際文化学科/掲載日:2023年10月

 私は琉球文学を主として研究しています。まず琉球とは、かつて1879年まで存在した日本国とは別の国で、北は奄美群島から南は八重山列島までを含む版図に広がっていました。その琉球国の時代に琉球国の人々によって成された文学が琉球文学です。
 といっても現在、琉球国は存在しません。そこで古い資料に記載された歌や呪文(筆録文芸)、あるいは口頭で伝承されてきた昔話や伝説等(口承文芸)を探索したり、時に聞き取りをするなどして、琉球文学作品として研究対象にしています。
 さて、本学では令和元年、「琉球文学大系」産学連携長期プロジェクトを始動しました。これまで収集された琉球文学作品としての史資料や伝承について、代表的な作品を中心に全35巻のシリーズとして編んでしまおうという、壮大な試みです。
 具体的内容として、まず沖縄最古の神歌集『おもろさうし』、三線に載せられる歌詞として代表的な短詩型歌謡である「琉歌」、琉歌と同じ八六調でセリフの綴られるオペラ「組踊」の作品が大系の巻として編まれます。
 また、これら琉球語による作品のほか、琉球国の人々は日本の人々と交流し和語・和文学を学び詠んだ和歌、和文学作品、同じく琉球国の人々が中国の人々と交流、漢語・漢文学を学び記した漢詩、漢文学作品、あるいは、和語や漢語を用いて記録した琉球国内の様々な事物・事象の来歴や由来等の歴史史料も大系シリーズの中に編みこまれる予定です。
 琉球国の人々が残した文芸作品は多岐にわたっていることがお分かりいただけたかと思います。私はこのプロジェクトの副委員長を担っています。「琉球文学大系」という巨大な船を編み、無事船出させることが私の目下の目標です。

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照屋 理(国際学部 国際文化学科 教授)

【人物紹介】
 生まれ年:1975(昭和50)年2月 出身地:南城市大里 所属:国際学部 専門分野:琉球文学(口承および筆録文芸)・文化学 マイブーム:「蒼蠅驥尾に付して千里を致す」の実践 

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