沖縄の公立大学 名桜大学(沖縄県名護市)

研究コラム(つながる、つなげる教員の輪)研究

研究と社会的責任

田代 豊/国際学群 観光産業教育研究学系/掲載日:2023年3月

 大学の研究成果は論文となりますが、成果に応じた研究費傾斜配分が学長裁量経費に置き換わり、多くの人にとって研究を行うインセンティブはほぼないことと思います。私は研究者の議論・引用の対象となる論文を出せるよう努めていますが、他大学研究者の膨大な成果を見ると、私の研究が「二流」であると痛感します。
 例えば研究事務処理方法の設計という様な事は、こうした研究を行った事がない人にとって、仕事内容の重要性や優先順位の判断を責任をもって行う事が難しいことと思いますが、事務処理方法が次々と変更され職員の業務が増加しています。例えば、特殊な物品の発注手続き、店舗での物品購入のための外出、購入物品の写真撮影(電子データの「撮影」を含む)、増加する申請書・理由書類など。そして、業務増加が対応可能なものかどうかは、変更の決定の際に考慮され難いようです。今年度の外部資金研究助成について、準備されていた申請書が大学から助成機関に期限内に提出されず受理されないという事態が生じたのも、事務の負担増が原因と言えます。
 事務部署間にも力関係があると思いますが、会計課が年度末の業務を軽減するために物品購入を年内に制限する方法を駆込み購入による物品購入防止という理由付けで実現できた事は、事務処理を他部署に移す事が受忍されやすい事を示していると思われます。今年度の学長裁量経費による研究費の事務処理担当部署が実施段階になって変更された事も、その影響の一つでしょう。もちろん、実際には期限をいつに設定しても、その直前に駆込み購入が発生する事に変わりはありません。
 誰かに言われるまま、文書に書かれた通りの行動だけをする教条主義や、明文化なき事を権限を濫用して恣意的に判断する権威主義というような事は、旧来から批判されてきました。私たちが社会的責任である研究成果を挙げる事に取組めるようになる事を祈念します。

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田代 豊(国際学群 観光産業教育研究学系 教授)

【所属】
名桜大学国際学群
【専門分野】
環境化学・環境科学

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