沖縄県民の身長が他県と比較して低いと感じたことはありますか?17歳の平均身長を沖縄県と全国で比べると、男子は1.7 cm、女子は2.0 cm低く、低身長率は、全国平均2.3 %に対し、沖縄県は4.6 %と2倍です(沖縄タイムス2005年より)。その理由は、諸説ありますが、ベルクマンの法則(恒温動物では寒い地域に生息する動物ほど体が大きい)説を唱える人が多いようです。
国内では、暖かい地域で身長が低い傾向がありますが、世界ではどうでしょうか。気候よりも、収入が関係しているようです。低所得国に身長が低い人が多く、国民総所得が低いほど成人の身長が低いといわれています。低所得国で身長が低くなる理由は、食べ物の量や種類がおおきく関係しています。
私の研究では、低所得国におけるこども(0歳児から中高生まで)の低身長について調べています。食べ物以外に低身長に関わる原因がないか、とか、どのような援助をすれば低身長の学生さんが減るか、などを考えています。今までに、アフリカで身体測定をしたり、アジアで成長曲線(年齢・月齢によって身長・体重がどのように変化するかを表したグラフ)を作ったりしました。現在は、いろいろな低所得国の中高生の、身長や生活に関することを比較して、国によってどう違うのかを調べています。マラウイ共和国(アフリカ)では、性別・地域・トイレの後の手洗いの3つが低身長に関係していました。ミャンマー共和国(東南アジア)では、性別・年齢・保護者の喫煙状況の3つが低身長に関わっていました。このように、国が変わると低身長に関わる事柄も少し違ってきます。
今後はさらにいろいろな国のことを調べて、適切な支援ができるようにしたいと考えています。
岡部 麻里(人間健康学部 スポーツ健康学科 准教授) 【専門分野】小児科学・公衆衛生学 |