私の専門分野は、母性看護学、助産学教育で看護師、助産師を目指す学生さんの教育に携わっています。臨床での助産師経験を活かし小学校から高校生を対象に生命の誕生、性の科学としての性教育を実践しています。皆さんは、「性教育」と聞くと、どんなイメージをもっていますか。性という響きは、恥ずかしい、苦手だと感じてしまう方もいるかもしれませんが、性教育の「性」とは、心が生きる教育を意味します。思春期は、心と身体が大きく変化し、自己の葛藤やアイデンティティの確立など新たな自分に気づく第2の誕生というかけがえのない時期でもあります。
沖縄県は、日本で一番の子宝の島ですが、その一方で思春期の望まない妊娠・出産が全国より高いことから、思春期世代に合わせた効果的な性教育の実践や普及啓発は喫緊の課題でもあります。健やか親子21(第2次)の学童期・思春期から成人期に向けた保健対策(基盤課題B)においても同世代から知識を得るピアカウンセリング(仲間教育)の取組みが推進されています。2019年から名桜大学学生による思春期応援団「やんばるがんばるぴあまーる」を立ち上げました。ネーミングの由来は、ピア(仲間)と沖縄の方言『ゆいまーる』助け合い・支え合いを意味しています。現在は、13人の大学生が30時間の思春期養成講座を受講し、ピアカウンセラーの活動を支援しています。 ピアカウンセリングを用いた健康教育は、大学生と中学・高校生の世代間で、心理的距離間が近く共感しやすく正しい知識と自己肯定感・自己決定力を育み、主体的な行動変容につながります。
沖縄の豊かな自然環境、伝統、文化や島しょ・僻地のゆいまーる(相互扶助)という強みをいかした思春期の性教育の構築を目指した研究活動に取り組んでいきたいと考えています。
長嶺 絵里子(人間健康学部看護学科 助教) 【専門分野】 |