沖縄の公立大学 名桜大学(沖縄県名護市)

研究コラム(つながる、つなげる教員の輪)研究

日本語学習者の誤用から見えること

当銘 盛之/国際学群国際文化教育研究学系/掲載日:2020年9月

 日本語学習者の誤用から見えること

当銘 盛之(国際学群国際文化教育研究学系 准教授)

 私の専門は日本語教育学で、特に中国人日本語学習者の漢字を中心に研究しています。「日本語教育」と聞くと、「国語教育と似たような感じ?」と思われる方も少なくないのではないでしょうか。日本語教育は、日本語を母語としない外国人に「外国語としての日本語」を教えることを指し、学問分野としては、実は英語(外国語)教育に近いのです。私たちが外国語を勉強するときと同じく、日本語学習者が日本語を勉強するときには、様々な困難点にぶつかります。「明日友達を会います」「これは私が書いたの本です」「勉強の圧力が大きいです」などの文を見た時、私たちはどこが間違いなのか、どのように直せばよいかがすぐわかります。しかし、「なぜこのような間違いをしてしまうのか」という問いに答えることは難しいのではないでしょうか。
 日本語学習者は日本語学習の過程で様々な誤用を犯しますが、それには学習者自身の母語が大きく関わっています。例えば上記の「勉強の圧力が大きいです」は、本来「プレッシャー」と書くべきところを、日本語の「圧力」と中国語の「压力」の用法が同じだと捉えてしまったために起こった誤用です。このように、中国人日本語学習者が日本語を学習するうえで、母語である中国語の漢字知識は有利に働くこともありますが、不利に働くこともあります。そのため、有利な点はできるだけ活用し、不利な点はできるだけ影響を小さくする必要があります。
 上記では中国語と日本語の違いについて述べましたが、中国語の他にも英語や韓国語など、母語が違えば誤用も異なります。また、母語にかかわらず起こる誤用や、学習者個別の誤用もあります。「なぜそのような間違いをするのか」という問いは、シンプルではありますが、効果的な教え方を導出することはもちろんのこと、言語の違いや学習者自身を知ることにもつながり、非常に奥深く、興味深い世界を私達に見せてくれます。

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人物紹介

【生まれ年】
1982年(昭和57)年

【出身地】
沖縄県

【専門分野】
日本語教育学、言語・認知心理学

2020年4月に名桜大学に着任しました。マイブームは娘(1歳3か月)の言語(日本語)習得の様子を観察することです。改めて、言語習得の奥深さを日々感じています。

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