おきなわに生まれてくる全ての子ども達の幸せを願って
砂川恵子(人間健康学部スポーツ健康学科助教)
看護学科の大浦先生より紹介いただきました。大浦先生は看護の領域から「子育て支援」を考えておられ、私自身は社会福祉の立場から「沖縄県における若年出産の課題や支援」について研究を深めていきたいと考えています。
沖縄県の10代の妊娠・出産は、全国の2倍、地域によっては2倍から4倍という現状があります。10代での妊娠の多くは予期せぬ妊娠で、少女たちは妊娠を身近に相談できる人がいない、関係性の貧困状態に置かれ孤立し、一人で悩みを抱え込んでいるのが現状です。
こうした予期せぬ妊娠で出産せざるを得ない状況を支援する場合、これまでは産んで自分で育てていく、産んで育てられなければ施設へ預けるという方法しかありませんでした。
平成30年4月に施行された「民間機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律」によって、第三の支援策が提示できるようになりました。いわゆる特別養子縁組という制度を活用した支援が可能となりました。
新しい支援方法である「特別養子縁組制度」とは、子どもの福祉の増進を図るために、養子となる子の実親との法的な親子関係を解消し、実の子と同じ親子関係を結べる制度です。
予期せぬ妊娠により、産みの親が「子どもを育てる」のが難しい場合、生まれた赤ちゃんが安心・安全な環境で、愛情に満ちた家庭や両親を得られる最善の方法に繋がるのではないかと考えています。
特別養子縁組あっせん事業の先駆的な取り組みを行っている、県外の団体への調査と実践を通して沖縄県の実情に応じた支援システムの構築を目指しています。
一昨年に一般社団法人「おきなわ子ども未来ネットワーク」という団体を立ち上げ、若年妊娠SOS事業と特別養子縁組あっせん事業を開始し、私自身も相談員として実践を行いながら研究に取り組んでいます。
砂川恵子(人間健康学部スポーツ健康学科助教)
沖縄県那覇市出身。専門分野は社会福祉、児童家庭福祉。
社会福祉士として児童家庭支援センターの相談員や地域の社会福祉協議会でコミニュティ・ソーシャルワーカーとして勤務した後、社会福祉士養成大学にて5年間実習指導担当教員として勤務し、2018年度より名桜大学に入職いたしました。名桜大学には前任校勤務時より非常勤講師として来ていて、個性のある元気な学生さんが多い印象を持っていました。