母子とその家族に寄り添う子育て支援
大浦 早智(人間健康学部看護学科 助教)
皆さんは助産師という仕事を聞いたことがありますか。分娩に立ち会い、入院中の母親や新生児のケアを行う役割が一般的に知られていますが、退院後の子育て支援を行う役割も担っています。出産後、母親は病院を退院し、自宅での子育てが本格的に開始していきます。私自身、助産師として勤務している際に、退院後、育児に漠然とした不安を抱えながら日々の子育てや生活に追われている母親に出会うことが何度もありました。そのような中で、母親の子育ての環境が充実する具体的な力になれる策はないかと考えるようになりました。「すこやか親子21」において,「子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」が掲げられています。育児不安は、順調な母子関係の発達を妨げ児童虐待の大きな要因となる(服部,2002)と指摘されており,母親の育児不安の軽減についての対策が日々注目されています。北部地域は、自然豊かな場所で子育てのしやすい環境であると言われている一方で、子育てに対して孤立感や負担感を持つ家族の増加があり、子育てを支援する環境の整備を課題にあげている現状があります。実際、子育て中の母親への調査において、子育ての時間の中での気分転換として「家族との時間」を重要視し、また「友人と過ごす時間」など人とのつながりがある場合、育児に対する不安が緩和されている傾向がうかがえています。
母子の分野において、「切れ目ない子育て支援」という言葉がうたわれています。思春期ピア活動や産後ケア事業など女性のライフステージをふまえた支援の充実も求められています。沖縄のゆいま~るの言葉にもあるように、子育て中の母親と周囲の人々が手と手をあわせ、寄り添いながら子育ての環境が整備されていくことが期待されています。母親が安心でき、楽しみながら子育てに取り組める環境づくりを、自然豊かな地である北部地域より発信できたらと考えております。
大浦 早智(人間健康学部看護学科 助教)
沖縄県うるま市出身。看護学科で母性看護領域を担当しています。助産師として勤めていた経験をふまえ、学生に母子分野に関心をもってもらい、子育て環境充実につながる方法の模索の日々です。教員として初めての勤務ですが、自然豊かなキャンパスや学生の皆さんの明るさに力をもらっています。今年は、学生の皆さんが教えてくれる北部のオススメの地を巡ってみたいと考えています。