産業の視点から観光を考える
角谷 尚久(国際学群 観光産業教育研究学系 上級准教授)
私の研究分野は、観光と航空・旅行産業との関わりについてです。観光産業論や交通産業論を中心として、産業としての観光が地域発展にどのように寄与するのかをテーマとして研究を進めています。
昨今、日本のどの地域をみてもインバウンド(訪日外国人)観光客の話題で持ちきりです。宿泊関係だと民泊について、航空関係だとLCC(ローコストキャリア)について、地方創生関係だとDMO(Destination Management Organization)というふうに 各分野において活発に取り組みが行われ、その成果がインバウンド観光客数の増加としてあらわれつつあります。
日本の今後の産業構造を俯瞰した場合、観光産業がますます大きなウエイトを占めることは間違いないと考えられています。しかしながら、観光産業の発展がその地方の発展や地域住民の幸福度の向上にどのようにつながっていくのか?ということは、観光産業が、様々な産業にかかわっていることなどから見てわかるように複雑であり答えが一つではありません。
例えば、観光客を呼ぶためには航空会社と交渉して新規路線を開設すればいい。しかし、急激な観光客増加のために、空港から先の交通手段や宿泊施設がキャパシティ不足になり、せっかくきていただいた観光客の満足度につながらなくなるケースや、騒音やゴミ問題などが発生し地域住民の生活環境が悪くなるケースが考えられます。
それぞれの立場に鑑みながら、「望ましい観光のあり方」について沖縄をフィールドとして学生とともに研究していきたいと考えています。
2017年12月
角谷 尚久(国際学群観光産業教育研究学系 上級准教授) 1965年生まれ兵庫県出身。沖縄にきて5年目ですがいまだに関西弁が抜けず、関西弁での授業を続けています。高校生のころより馬術にはまり、強制的に朝方人間となり、現在でも朝方人間のままで夜にはめっぽう弱いです。休日は馬術の審判などで忙しく、他の趣味に時間がとれないのが悩みどころです。 |