やんばるの自然体験を通じて、グローカルな地域づくり
私の専門は野外教育です。野外教育は自然遊びの教育効果を利用して、人の成長を促し、豊かで幸せな人生や社会の構築に貢献することにそのねらいがあります。自然体験教育と表現されることもあり、近年は教育分野だけでなく、スポーツツーリズムやブルーツーリズム等ニューツーリズムのコンテンツとしても注目されています。
人はこれまで、利便性と安全性を追求して、現代の都市生活を手に入れてきました。しかしながら、その反面、人工的環境での暮らしは、変化が少なく毎日同じような生活になってしまいます。そうなってくると<生きている>という実感が持ちにくくなってきます。
そのようなときに自然という変化の多い非日常空間に出掛けていくと、自然からのさまざま刺激を受けて、<からだ>にも<こころ>にも<あたま>にも良い効果を得られると言われてきました。最近では<癒やし>の効果にも注目が集まっています。
ただし、より効果を上げるためには2つの重要なポイントがあります。1つ目は、実践に多くの<ヒト・モノ・カネ・情報>が必要ですので、指導やマネジメントの効率を上げるということです。2つ目は、自然には多くの危険が内在しているため、安全管理と安全教育の効果を高めるということです。そこで、これらの内容を対象として、より良い野外教育実践のための研究活動を行っています。
現在、地域と世界をつなぐ<グローカル>(グローバルとローカルを合わせた造語)という概念が注目を浴びています。この自然豊かなやんばるの地で、多くの人たちが日本人といわず外国人といわず感動体験を共有できるような地域づくりに、実践的研究者として貢献していきたいと考えています。
遠矢 英憲 (人間健康学部スポーツ健康学科 上級准教授) 自然遊びを研究対象とし、「また、遊んでいるのですか?」と聞かれて「えっと、いつも通り頑張って仕事しています。」と回答する真面目なハードワーカー。やんばる版二十四節気、七十二候を作成して、さらに遊びを充実させたいと考えている。本籍:屋我地島。
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