沖縄の公立大学 名桜大学(沖縄県名護市)

研究コラム(つながる、つなげる教員の輪)研究

日本の水泳教育をやんばるから変える

田原 亮二/人間健康学部 スポーツ健康学科/掲載日:2015年11月

日本の水泳教育をやんばるから変える

 私の専門分野は体育科教育学です。体育科教育学は文字通り中学校と高校で体育の授業をどのようにして教えるかについて学ぶ学問分野であり、特に児童・生徒の運動技能を高める方法について研究しています。

 現在はスノーケリングを利用した水泳指導法の開発に取り組んでいます。多くの人が小・中・高校で水泳の授業を受けたと思いますが、水泳は他の単元(スポーツ種目)と比較して好き嫌いが分かれる単元であることが明らかになっています。その要因は様々ですが、一番大きな要因は泳げないことにあります。そして、これはあまり知られていないことですが、沖縄県の児童・生徒は他県と比較して泳力が低いというデータがあります。綺麗な海に囲まれているイメージからすると意外な結果ですが、学校のプール設置率が低いというデータもあり、充分な水泳指導がされていないことが推察されます。

 水泳の技能に関して調査をしてみると、泳げない人の多くが「体を浮かせる」、「息つぎ」という段階でつまずきを抱えていることが分かりました。体を前に進ませるためにはプル(=手のかき)とキックの技能を習得する必要がありますが、水面で体が安定していなければ、手と足を正しく動かすことは出来ません。また、技能の上達には繰り返し練習することが不可欠ですが、背泳ぎを除いて水中に顔を浸けることが基本となる水泳では、呼吸が確保されていないと連続して練習することができません。これらの問題点を解消するために、スノーケリングの器材であるスノーケルとフィン(足ひれ)を利用した教材を開発し、大宜味小と屋我地中の児童・生徒に授業をしながら、効果を検証しています。今後は、この指導方法によってやんばるの児童・生徒の泳力を日本一にし、全国の水泳教育をやんばるから変えていきたいと思います。

田原(たはら)亮二(りょうじ)(人間健康学部スポーツ健康学科教授)

1975年千葉市で生を受ける。おひつじ座のA型。毎朝、某TV番組のうらないを視ては一喜一憂し、その日の身の処し方を決めている。そのため主体性は全くないが、学生には「主体的に・・・」と言わなければならないことにストレスを感じている。中・高の保健体育教員および調理師の資格を所持するユーティリティプレーヤー。

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