沖縄の公立大学 名桜大学(沖縄県名護市)

研究コラム(つながる、つなげる教員の輪)研究

帆かけサバニを知っていますか?

山本 健司/人間健康学部 スポーツ健康学科/掲載日:2014年4月

帆かけサバニを知っていますか?

山本健司(人間健康学部 スポーツ健康学科 准教授)

  私はこれまで主に臨床心理学に関係する研究を行っていました。 その傍ら、ヨットなどのマリンスポーツに親しんできました。最近まで、それらをあくまでも趣味として捉えていたのですが、近年、帆かけサバニとの出会いがあり、これを私の研究対象にしてみようかと構想を温めています。
 古代からいろいろな種類の舟が使用されていました。しかし、その多くはすたれ、ごくわずかの生き残った舟は改良されて近代的な舟となっています。その中で沖縄を中心とした海域では例外的に古い形を色濃く残したサバニが第2次世界大戦後まで広く用いられていました。ところが、エンジンを積むことや、それに伴って船体を大型化するなどの改良が施され、かつての帆と櫂のみを推進力としていたサバニは時代遅れの存在となり忘れ去られていました。しかし、2001年に沖縄で行われたサミットを契機に、失われた昔の形のサバニ「帆かけサバニ」を復活させようという動きが始まりました。でも、50年間ほどの間に、サバニの操船法・製作法がほとんど忘れ去られており、復活させるのは厳しい現状のようです。
 一方、急速に近代化する現代社会のなかで不適応に陥る人(臨床心理学のお客さん?)が増え続けています。
 まだ私の頭の中でははっきりとした形を成していませんが、古代とそう変わらないサバニを復活させれば、古の人たちが触れていたやり方と近い形で私たち現代人でも海と関わることが可能と思われます。サバニの操船や造船に関わること記録・継承することや、スポーツやレジャーとして現代人の心や体に良い効果をもたらす道具となる可能性について研究することは意義がありそうだと考えているところです。

2014年4月


名護21世紀ビーチから水納島にクルーズ中の帆かけサバニ。伝統的な帆かけサバニと異なりアウトリガーが安全性向上のために装着されている。










 

宜野座村カンナビーチで環金武湾帆掛けサバニレースに参加したうちの3艇。これらの3艇はアウトリガーを装着しておらず、レースでは「伝統サバニ」とカテゴライズされる。





山本健司(人間健康学部 スポーツ健康学科 准教授)

 1957年福岡県に生まれる。麻生元首相は小学校の同窓生(同級生ではないので御間違いなく)。現在スポーツ健康学科講師。専門は臨床心理学。児童相談所・病院・少年鑑別所・刑務所・スクールカウンセラーと臨床心理学の現場では家庭裁判所以外のほとんどを歴任。赴任当時はヨット部立ち上げを夢見ていたが、現在はサバニ部(?!)立ち上げを夢想中。

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