比較統語論とは?:世界の言語と日本語との共通点
中村浩一郎(国際学群 国際文化教育研究学系 教授)
私の専門は理論言語学です。その中でも、比較統語論と呼ばれる分野で研究を進めています。なにか「小難しいもの」あるいは「つまらないもの」のように聞こえるかもしれません。しかし、あらゆる生き物の中でも、人間だけが使いこなせる「言語」を理論的に研究することは、実は非常に魅力的なものなのです。
現在は日本語や英語と世界の様々な言語、特にハンガリー語、イタリア語、さらに韓国語やペルシャ語などを研究しています。一見すると、日本語や英語とはあまり関連がないように思われる、これらの言語をよく観察してみると、日本語との共通点が浮かび上がってきます。たとえば、日本語で「君はメジャーリーグのどのチームを応援しているの?」と聞かれたとしましょう。その答えとして、「僕はレッドソックスを応援している」と答えると、後に「でも、僕はマリナーズも応援している」と続けることができます。それに対して、語順を変えて「レッドソックスを僕は応援している」と答えた場合では、「レッドソックス」が強調され、「僕が応援しているのはレッドソックスだけだ」という意味になりえます。同じことが、ハンガリー語やイタリア語でも言えるのです。面白いと思いませんか?(ちなみに、ボストンレッドソックスは私が唯一応援しているチームです!)
このように、様々な言語を比較・対照して研究した結果、今までにアメリカのシカゴ、デイヴィス、ホノルル、さらにはベルギーのルーベン、スイスのジュネーブ、韓国のソウルで研究発表する機会に恵まれてきました。「世界のいろいろなところに行けて羨ましい!」と言われるのですが、実際は学会前日に現地に入り、3,4日学会があり、翌日には現地を離れますので、観光はほとんどできません!
今は、来年アメリカのボストン(レッドソックスの本拠地!)で開催される学会に備えて、自分の論文をまとめているところです。
シカゴの学会での研究発表の様子
2012年8月
中村 浩一郎(なかむらこういちろう) 大阪で長年過ごし、1995年から17年間広島の女子大で勤め、2012年4月から名桜大学でお世話になっています。大阪弁を隠そうとしていますが(してへんかも)、典型的な関西人です。「ボケとツッコミ」ではないですが、私が話すことに、学生さんたちが積極的に反応できる講義をするよう心がけています。名桜に来て3ヶ月経ち、大阪に近い「打てば響く」心地よさを感じながら、「ノリの良い」学生さんたちとの講義を楽しんでいます。 |