End-of-Life Care:安らかな最後を迎えるために・・・
大城 凌子(人間健康学部 看護学科 講師)
私は、6年前から名護市宮里地区の朝市で、健康相談活動を続けています。独りほそぼそと始めた活動は住民の声に支えられ、看護学科の教員や学生、行政との協働によるヘルスプロモーション活動へと発展しました。現在、同様なアクションリサーチを北部地域の3カ所で展開しています。活動の先に描く願いは「誰もが安心して老い、安らかな最期を迎えられる地域づくり-」です。以前、高齢者への看とりに関する調査を行い、安らかな最期を迎えるためには、健康、看とりへの意思、地域とのつながりやその土地の文化に根差したケアの重要性を確認したことが、活動の契機となりました。私の半生を育んでくれたこの地への感謝をこめて、人生の後半期を、End-of-Life Care(誰にでも訪れる人生の終焉を、本人が望む通りに過ごせるように支援すること)の実現を目指し、学生や住民と共に探求していきたいと考えています。
昨年、世界遺産の国マルタ共和国で開催されたICN(International Council of Nurses)学術集会で、先の調査結果を発表しました。看とりへの関心は、高齢化社会を迎えた世界に共通するテーマとして関心を持たれました。2005年、日本は初めて死亡者数が出生者数を上回り、近年は高齢者の孤独死も増加しています。死は身近に存在しているにもかかわらず、そのリアリティは遠のいているように思います。多死の時代を迎えるにあたり、誰かを看とり、誰かに看とられる体験を支える鍵は、地域とのつながりにあるといえます。誰(自分)にも訪れる人生の終焉と向き合うことで、新たな生き方への思索が始まると感じています。人や自然とつながることの温もりや安らかさを、地域や学生につなげていきたいと考えています。
ICN学術集会で展示発表したポスターの前にて
2012年8月
大城 凌子(おおしろりょうこ) 沖縄県名護市出身。臨床看護師を経て、看護専門学校で14年間看護基礎教育に携わり、名桜大学看護学科開設時から、基礎看護学領域を担当しています。初めて看護学を学ぶ学生に、看護の魅力を伝えたいとの思いで、学生とのやりとりを楽しんでいます。「気になったらレスポンス!」を合言葉に、コーヒーの香りと、ゆんたく(談笑)を通してつながる場づくりを大事にしています。インターネットよりも〝ゆんたくネット″を好むアナログ人間です。 |