国際文化専攻3年次の徳元美海さん(沖縄県立コザ高校出身)が、令和6年12月14日、15日に「LEAP DAY 2024」のイベントに参加し、登壇者としてプレゼンテーションを行いました。
徳元さんは「SynEmo -感情を見える化するコミュニケーションの新時代-」の題でプレゼンテーションを行い、見事企業(琉球銀行)賞を受賞しました。
イベントの内容や、徳元さんのプレゼンテーションの中身、また今後の展望等について語っていただきましたのでご紹介します。
インタビュー記事の下に、当日のプレゼンテーション動画もございますので是非ご覧ください。
受賞した徳元さん(右)と活動をサポートした立津上級准教授(左)
Q:自己紹介をお願いします。
徳元さん:徳元美海です。国際文化専攻3年次に所属しています。
Q:今日のインタビューでは、LEAP DAYでの受賞について詳しくお聞かせください。LEAP DAYとは、どのようなイベントなのでしょうか?
徳元さん:LEAP DAYは、大学生の私も登壇させていただいたのですが、学生のプレゼンがメインというわけではありません。様々な企業の経営者の方がセッションをしたり、私のような大学生や高校生が研究成果をプレゼンしたりする場です。教育、ビジネス、スタートアップなど、沖縄の様々な分野の関係者が集まる大きなイベントですね。那覇の芸術文化会館を会場に、大ホールや小劇場、屋外スペースも使って、フードブースなども出ていました。登壇者が一方的に発表するだけでなく、参加者全体で交流しながら、一年間の成果やそれぞれの活動を発信する場という雰囲気でした。沖縄を盛り上げようという熱意を持った人たちが集まる、熱い場所でした。
Q:徳元さんは令和6年の6月に「琉球frogs」に選抜されたというニュースも拝見しましたが(参考:/news/2024/07/011498/)、LEAP DAYへの参加はその活動の一環ですか?
徳元さん:その通りです。大学の活動とは全く関係なく、私が琉球frogsの16期生に応募して、6月に合格して活動を始めました。琉球frogsの中でも、LEAP DAYのような大きな舞台に立てるのは2チームだけなんです。メンバーはみんなそこに立ちたいと思って活動しています。
Q:今回のLEAP DAYでの発表テーマは何だったのでしょうか?
徳元さん:テーマは「SynEmo -感情を見える化するコミュニケーションの新時代-」で、私の「感情を可視化したい」という思いから始まりました。遠距離恋愛をしていて、言葉だけでコミュニケーションを取ることに違和感を持っていたんです。もともと感情の言語化が苦手で、感情をそのまま届けたい、相手の感情もそのまま受け取りたいという思いがありました。そこから、感情を可視化した世界はどんなものだろうというワクワクと、自分のやりたいことが繋がって、半年かけてプロダクトを作りました。
Q:具体的にはどのようなプロダクトですか?
徳元さん:心拍を使って、感情の可視化をはかるプロダクトです。感情をどこから見るかということですが、今回は心拍数に着目しました。心拍数を光で表現し、心拍数がゆったりしている時は青、高い時は赤に光るようにしました。ゆったりしている時はリラックス状態で、興奮状態ではありません。赤に近づくにつれて興奮状態になり、コミュニケーションで言えば喧嘩のシーンなどを想定しています。逆に、何かを熱く語っている時でもいいですね。心拍数を光にすることで感情を可視化するというプロダクトを、作りながら発表し、フィードバックをもらって改良していくという過程でした。
Q:体に装着するようなものですか?
徳元さん:そうですね。最終的にはネックレスかブレスレットのようなアクセサリーの形にしたいと考えています。ただ、この半年間では商品として完成させることはできませんでした。試作品の段階で、電子基盤があって、パソコンに繋いでセンサーを近づけると赤と青に光るというところまではできました。私一人でやったわけではなく、立津先生の研究室にお邪魔したり、プログラミングやハードウェアに詳しい人たちに話を聞いたり、YouTubeを見たりしながら、家でこそこそ作っていました。技術的にはそれほど高度なものではなく、私が6ヶ月かけてここまでできたというだけで、技術者の方ならすぐにできるようなものです。
Q:徳元さんは国際文化専攻に在籍していますし、全く専門外なのにすごいですね!元々そういったプログラミングなどの分野に興味があったのですか?
徳元さん:ありがとうございます。試作品を作りながら、自分の意志を周りに発信しながら制作を続けました。
プログラミングに関しては好きというよりか、あまりよく分かりませんでした。ただ、こういうものを作ってみたいという思いはありました。ですが大学4年間で、プログラミングに関わることになるとは思ってもみませんでしたし、関わりたいとも思っていませんでしたので、自分でもびっくりしています。
ずっと文系で、数学や理科は苦手でしたし、機械や数字、コンピュータに触れることはないだろうと思っていました。琉球frogsでプロダクトを作る中で、感情が見えたらどうなるか、遠距離恋愛で感情がそのまま伝わったらどうなるかなどの好奇心が、興味のなかった分野をやりたいことへ変えていきました。
Q:琉球frogsでの経験が、徳元さんの興味関心や学びのベクトルを、新たな分野に発展させていったんですね。琉球frogsのことは元々知っていたのですか?
徳元さん:いいえ、知りませんでした。立津先生が名桜大学にポスターを貼ってくださって、説明会があることを知りました。そのポスターをたまたま見かけて、そこには「やるかやらないか、人生はシンプルにその二つ」と書かれていたんです。私がオーストラリアでのワーホリから帰ってきて半年くらい経ち、1時間半の授業が何個もあって、バイトもして、この生活を4年生まで続けるのかとモヤモヤしていた時期でした。たまたまポスターを見て、名桜大学で説明会があるのなら聞いてみようと思い、一人で説明会に行ってみたのがきっかけです。
Q:様々なタイミングが重なったんですね。今回受賞した賞は、どんな賞ですか?
徳元さん:はい、琉球銀行さんから贈られた企業賞です。スポンサー企業が複数あるので、企業賞もいくつかあります。その中で琉球銀行さんが私を選んで賞をくださいました。
Q:当日、LEAP DAYのイベント会場はどのような雰囲気でしたか?
徳元さん:やる気に満ち溢れた人たちが集まる、とても良いコミュニティでした。社会を変えたい、これをやりたい、実現したい、この問題を解決するにはどうすればいいか、そのためにこうやって動いている、といった人たちが集まっていました。見に来る人も、何かしら自分の中にやりたいことや、社会を変えていきたいという思いを持っていました。
登壇者以外の方もそういったマインドを持っていました。登壇が終わった後、廊下を歩いていたら高校生に「見ました」と声をかけてもらったり、「こういう問題があって解決したくて」「進路に悩んでいて何かしたいけど一歩踏み出せないけど、徳元さんのように自分もなりたい」と言ってくれる子がいたりしました。沖縄を出発点として社会を変えていきたい、自分の中にエネルギーややる気がある人が集まっている場でした。登壇者と観客という区別ではなく、同じ気持ちを持った人たちのコミュニティだと感じました。上下関係というよりは、「そうなんだ。じゃあこうしたらいいんじゃないか」と助言しあえるような雰囲気です。
Q:受賞した時はどうでしたか?プレゼンがうまくいったという手応えはありましたか?
徳元さん:いけたな、うまくいったなと思いました。私は人の目を見て話すタイプなので、舞台上でも、近くにいる人にも挨拶からしっかり目を見て話すと、聞いてくれている人は「うんうん」という感じで見てくれます。それが楽しくて、緊張というよりかは、大人や高校生のみなさんの前で、自分のやりたいことをいきいきと話せることが楽しかったです。6ヶ月間頑張ってきた集大成を、こんな大きな場所で発信できているという喜びの方が大きかったです。
Q: LEAP DAYが終わった後も、琉球frogsの活動は続くのですか?
徳元さん:琉球frogsというプログラム自体は続いていて、次は17期生が参加しますので、16期生としての活動はLEAP DAYで終わりました。ですが、LEAP DAYに登壇したメンバーの中からさらに内面的に成長した3名が選抜され、フィンランドに行きます。私も選んでいただき、1月に行くことになっています。
Q:フィンランドではどんなことをするのですか?
徳元さん:大学の先生や企業家の方にピッチをします。自分のプロダクトと、これまでの集大成、そしてこれからどうしていくかについて話します。それで琉球frogsの活動は完全に終了です。LEAP DAYでの最終発表を終えた後、さらに自分をアピールする機会としてフィンランドで1週間のチャンスが与えられ、それですべてのプログラムが終わると言えます。
Q:フィンランドでは英語でプレゼンをするのですか?
徳元さん:もちろんです。LEAP DAYでのプレゼンも英語でした。高校生も英語で発表していました。日本語で自分の思いを説明したりプレゼンするだけでも難しいのに、それを英語で、しかも限られた時間の中で伝えたいことだけをピックアップして熱意を込めて伝えるのは大変でした。それを英語でやっている高校生がいてすごいと思いました。私はワーホリなどの経験があったので、英語でのプレゼンには少し自信がありました。
Q:フィンランドから戻った後の展望はありますか?
徳元さん:はい。琉球frogsで進めていたプロダクトはまだ完成したとは思っていなくて、もっとやり進めたいと思っています。琉球frogsの活動は終わりましたが、私が考えているプロダクトなので、個人的に来年も進めていこうと思っています。今は心拍数に注目していますが、それに囚われず、本当に感情が見えるとはどういうことなのかを勉強したいです。名桜大学でもう1年国際文化専攻で学ぶよりも、もっと外に出たいと思い、来年から国内留学することにしました。東京の法政大学の哲学科に留学し、"感情論"などの心理学系の授業を受ける予定です。来年1年間は勉強と、プロダクトをさらに磨く一年にしたいと思っています。フィンランド以降は、このプロダクトを個人的に来年以降も進めていく予定です。
Q:どんどん活動の場が広がっていますね。素晴らしいです。海外での経験、国内留学も経験して、地元沖縄の大学から活躍の場を広げているのは素晴らしいですね。卒業後はどんなことをしたいと考えていますか?
徳元さん:卒業後は、琉球frogsの活動を始める前は英語が話せるのでそれを活かして就職しようと考えていました。今は就職はあまり考えていません。このプロダクトを作り続けていきたいと思っています。卒業後何をするかと聞かれたら、多くの人はどこの会社に所属するかという答えをすると思いますが、私は必ずしもどこかに所属するというよりは、自分のやりたいことを突き詰めて満足いくまでやっていくというビジョンを持っています。
来年1年間は感情や心理学を勉強したいと思っています。感情が可視化された世界が自分の人生の何年後かに実現していて、そこに至るまでの道が卒業後にあると思っています。やりたいことがたくさんあって、どこかに就職したいというよりは、これをしたいからこれもする、そのためにはこれもする、といった感じで色々考えています。それを一つずつ自分で楽しくやっていけるような卒業後の生活にしたいです。
Q:名桜大学に入学しようと考えている高校生にメッセージはありますか?
徳元さん:名桜大学には来てほしいです。立津先生のような先生や、私のような先輩もいます。授業を見ても分かるように、心理学、経済学、英語など、様々な教養科目があります。自分の興味を探したり、そこから派生して興味のある分野を見つけることができます。ポスターを見て、自分に合いそうだと思ったら応募してみる。そこで自分のやりたいことが見つかるかもしれません。
名桜大学は、様々な興味を引き出してくれるベースとなるものがあり、そこから自分が何をやりたいかを選べる環境があります。私のようにワーホリに行ったり、国内留学で他の大学の学問を学んだりすることもできます。大学でだんだんやりたいことを見つけていく人もいます。楽しく遊ぶ時期もあれば、興味のあることを見つけてそれをやる時期もあります。高校生の皆さんには、とりあえず来てみるといいよと言いたいです。やるかやらないかの選択はありますが、自由な大学なので、何かしらみなさんの興味が引かれるものが見つかることを願っています。
プレゼンテーションの動画はこちら
YouTubeチャンネル LEAP DAY@leapday1370
【学生プレゼンテーション/琉球frogs/感情を見える化するコミュニケーションの新時代『SynEmo』】LEAp DAY 2024 DAY2