2024年12月3日、東京大学先端科学技術研究センター経済安全保障プログラム、NATO(北大西洋条約機構)本部、駐日デンマーク王国大使館共催の「日本NATOシンポジウム:不確実な時代におけるパートナーシップ」が東京大学で開催され、同国際シンポジウムにパネリストとして登壇しました。
当日のシンポジウムは、小林一大防衛大臣政務官による開会に際しての挨拶、スウェーデン国防大臣の基調講演を皮切りに、ヨーロッパやアメリカのみならず、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの専門家、実務家からなる3つのセッションが設定されました。
私は第一セッション「欧州大西洋とインド太平洋の相互接続性」について、NATO本部広報文化外交局インド太平洋エンゲージメント部門の担当官、駐日EU(ヨーロッパ連合)大使、スウェーデン国防関係者、チェコのシンクタンク欧州安全保障価値センター(EVC)の専門家と共に議論を深めました。ポスト・ポスト冷戦の国際秩序論や新たな安全保障上の課題であるハイブリッド脅威、今後の日本外交についてなど、これまでの研究活動で得た知見をベースに他のパネリストやフロアとの間で有意義な議論ができたと感じています。「インド太平洋」という外交概念は、故・安倍晋三首相が提唱した自由で開かれたインド太平洋(FOIP)構想を源流としたもので、近年、NATOはFOIPへの関心を強め、インド太平洋4カ国(IP4:日・韓・豪・NZ)との連携強化に乗り出しています。北朝鮮軍の事実上の参戦もあり、3年目を迎えたロシアのウクライナ侵略が続く中、平和で安定的な国際秩序について、自由や民主主義といった価値観を共有する大西洋のパートナーと共に議論できたことは、研究者として得難い経験となりました。
報告:志田 淳二郎(国際文化学科 准教授)
左から1人目が筆者