【出版】『沖縄の教師の語り』
嘉納英明 著(新星出版、2024年)
この小さな本は、15名の沖縄の教師の声を紡いだものである。小学校の教師を中心とした語りの紹介である。県外出身であるが縁があって沖縄の教師になった者、様々な職種を経てきて教師になった者、臨時教師をずっとやってきた者、理想と実際の学校生活のなかで葛藤を覚える者、定年まで組合活動に汗を流してきた教師もいる。これらの教師は、それなりの思いや熱意、悩みや葛藤を抱えながら、毎朝、学校に向かい、子どもの前に立っている。そうした教師の思いや熱意、悩みや葛藤はどのようなものだろうか。何に悩み、葛藤を抱えながら教職を営んでいるのだろうか。私は、どの学校にもいる等身大の姿を描きたいと考え、6年程前から、現職の教師や元教師のもとへ出かけ、その声に耳を傾けてきた。
話し手は、私が小学校の教師だった頃の同僚や先輩、後輩、研究会の仲間、紹介して頂いた方などである。大学を卒業したばかりの臨時の講師もいれば、定年退職をして20年余も経った元教師もいる。この本は、沖縄で生活し、沖縄の学校に勤めた教師にスポットをあて、それぞれのおかれた立場で感じたことや考えたことを率直に話して頂き、それを記録したものである。読者の皆さんは、彼らの声に耳を傾けると、等身大の教師の様々な見方、考え方にふれ、生活者たる教師に親近感が湧くのではないかと思う。
<本書の内容>
第1章 県外出身の沖縄の教師
第2章 異業種経験の教師―営業、マーチング、煙草代―
第3章 臨時教師のいま
第4章 復帰・組合・研究会
報告:嘉納 英明(国際文化学科 教授)