本学で令和3年度から令和5年度に開講された「プロジェクト学習(沖縄北部方言)」内で作成した絵本を、国頭教育事務所を通じて令和6年6月24日に管轄の小中学校へ配布しました。
本プロジェクトでは、私たちが学ぶ沖縄県北部地域に焦点を当て、方言に関する問題や課題を探り、解決方法を検討・実施してきました。問題や課題には、例えば話者の高齢化や、話者人口の減少、言語資料の有無および量、言語継承の取り組みなどがあります。3年に渡り実施してきた本プロジェクトには、総勢27名の本学学生が参加しました。
この絵本を作成した経緯をお話しします。プロジェクトメンバーは、課題の発見・解決に向けた調査を実施する中で、伝統方言の継承の一歩として子ども達への方言の周知には絵本が有効ではないかという仮説を立てました。そこで、沖永良部方言(鹿児島県大島郡)の擬音語をまとめた絵本「シマノトペ」の作者である国立国語研究所の横山晶子先生に快諾いただき、同絵本の枠を使用し、名護市(大北)版と本部町(東)版を作成しました。作成にあたり、方言を教えてもらう必要があったので、メンバーの祖父母の方々にご協力いただきました。また、絵本の作成だけでは周知にはならないと考え、作成後は名護市内の公民館、小学校、幼稚園・保育園の協力を得ながら、読み聞かせを実施してきました。
3年間で、文献調査、アンケート・聞き取り調査、視察、絵本・ポスターの作成、絵本の読み聞かせ、方言調査など、様々な活動を実施しました。絵本はプロジェクト活動の成果の一部ではありますが、各小中学校で子ども達の目に留まり、小さな活動が広がる一歩になることを願っています。本プロジェクトの活動にご協力くださった地域の皆様、本学教職員の皆様、関係者の皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。
報告:麻生 玲子(国際文化学科 准教授)
国頭教育事務所にて喜屋武指導班長にお渡ししました
名護市版と本部町版「シマノトペ」