国際学群国際文化専攻志田ゼミから、2023年度卒業生・ジャセイコンさん(ミャンマー出身)が、国立政治大学大学院アジア太平洋研究英語修士学位課程に合格しました。
国立政治大学は、国立台湾大学と並ぶ台湾の最難関校の1つです。本学から通算3人の学生が、国立政治大学大学院へ進学しています。ジャセイコンさんの快挙を称え、令和6年6月11日に、指導教員である志田淳二郎准教授(国際学部 国際文化学科)と共に学長室を表敬訪問しました。
砂川学長より、「国立政治大学大学院は世界中から研究者が集まる場所です。そこで培うネットワークを大切に、頑張ってください」と激励の言葉が贈られました。
左から砂川学長、ジャセイコンさん、志田准教授
ジャ セイコンさんからのメッセージ
私は、母国ミャンマーでのクーデター等をきっかけに、国際関係について学ぶことに興味を持っていました。名桜大学で志田先生との出会いもあり、自分の将来がよりはっきりと見えるようになりました。
国立政治大学大学院では、アジア太平洋地域の政治や社会を勉強します。私はミャンマーや台湾をはじめとするアジア太平洋の地域研究のみならず比較政治学の理論や国際関係などについても研究を行う予定です。
名桜大学ではLLC(言語学習センター)のチューターを3年間勤めた経験から、たくさんの人と出会い、自身の成長につながり、それらが大切な思い出となりました。名桜大学での学びを通して感じたことの1つに、「自分が考えている世界がすべて正しいとは限らない」ということがあります。ミャンマーに住んでいた時には見えなかった、正しいと思っていたことが、実はそうではなかったと気が付くことが、名桜大学での学びの過程で多くありました。今後も、こうした批判的思考を持ちながら、志田ゼミで研究した卒業論文のテーマを台湾の大学院でさらに発展させ、探求していきたいと思います。
ジャ セイコンさんの研究について/指導教員志田准教授より
台湾国立政治大学大学院への進学が決定したジャさんの指導教員であったことを心より誇りに思います。ジャさんのこれまでの研究状況と今後の展望について少しご紹介させていただきます。
ジャさんは卒業論文を「Democratization in Myanmar: Is the Regime Change in Myanmar Categorized as Democratization?」というタイトルの下、英語で執筆しました。ミャンマーは2011年から「民主化」が進んだと言われていましたが、2021年2月に軍事クーデターが発生し「民主化が失敗した」とされています。ジャさんは、2011年以降のミャンマーの政治体制の変化は「民主化」と呼べるのだろうかというところに根本的な疑問を持ち、このテーマを卒業論文で比較政治学の理論などを用いながら探究しました。卒業論文では、2008年に制定されたミャンマー憲法の重要性を指摘し、政治的権力における軍の地位が固定化されている同憲法が運用されている限り、「民主化」が事実上不可能であることが明らかになりました。また、2011年以降のミャンマー政治の変化においても、「民主化」で保障されるべき、例えば、多様性の尊重のような価値観が社会に定着しなかったことも解明しました。
ジャさんの留学先である台湾も、かつて権威主義体制から民主化への道を歩んだ経緯があり、現在の台湾は多様性が尊重された民主主義社会を確立しています。ジャさんの出身国ミャンマーと台湾の歴史や政治文化、また、これらと似たような経緯を持つ国家の事例を比較していくことで、「民主化」の成否を左右する要因は一体何なのか、という点が理論的に解明されることが期待されます。一国の政治体制の変化は、地域の平和や安定を考える上で重要です。
ジャさんの今後の研究活動の発展を期待すると同時に、近い将来、今度は同じ研究者として共に研究する日が来ることを楽しみにしています。