2022年3月25日(金)9時から12時、名護市消防署の要請を受け、名護市消防署2階会議室において「救急隊員のための基礎講座~産科・新生児~」の講師を務めました。
日本における周産期事情として産科医療施設の減少・集約化やNICU不足、未受診妊婦の増加等、多くの課題が挙げられます。沖縄県も例外ではなく、未受診妊婦や旅行者が病院以外で出産するという事例に遭遇することがあり、消防機関は母体および新生児の救急救命および搬送に関する知識や技術を常に磨いておく必要があります。
今回の訓練では、救急隊員が周産期救急に従事する際に、状況判断を正しく行うために必要な妊娠・出産に関する基礎知識を学ぶこと、病院前分娩を想定したシミュレーションを行い、分娩を想定して出動する際の準備、分娩介助や新生児ケアの手順の確認、産婦や家族への対応について理解することを目的に講義と演習を行いました。当日、会場には約20人の参加者と外部からオンライン参加もありました。
演習ではシナリオに基づき、自宅出産と救急車内での出産を想定した訓練を行いました。参加した消防士の皆さんは非常に積極的で、日ごろから培ってきた抜群のチームワークを発揮していました。パニック状態のお母さんを演じる講師に「安心してください、ゆっくり呼吸をしましょう。大丈夫ですよ」と声をかけ、赤ちゃんが誕生した際には「おめでとうございます。赤ちゃんは元気です」とねぎらい、テキパキと処置を進めていく姿が印象的でした。
和気あいあいと訓練をしている最中にもサイレンが鳴り、救急車が出動する場面に遭遇しました。現場に急行し、迅速に人命救助を行うには日頃の訓練が欠かせません。今回、主催者より「あまり症例の無い分娩だからこそ、定期的に講習会を開催して知識の定着を図っていきたい」と訓練の趣旨を伺いました。こうした訓練に参加し、地域住民の命を守る活動に少しでもお役に立てれば幸いです。
報告:阿部 正子(看護学科 教授)
救急車内でのお産を想定した演習
皆さんお疲れ様でした!