国立政治大学(台湾)の大学院生に向けて、「琉球・沖縄の歴史」についてビデオ会議ツールを用いた講義を実施しました。本講義は同大学台湾史研究所の講義として開講されました。
本講座は歴史学の観点から外交史に焦点を当て、琉球から沖縄へ変わるまでの歴史的過程をペリー来航、琉球の併合、琉球問題、日本と清朝の外交、米国・英国の介入等を取り上げました。講義では英語、日本語、中国語の一次史料を受講者と一緒に読み解き、一つの史料、一つの文、一つの単語に対する個々の解釈を出してもらい、議論を交わしました。
林果顕所長(台湾史研究所)は、「台湾で台湾史を研究する意義は、世界で起こっていることを台湾の視点から再考し、創造的な歴史観を構築することにある。けっして他の歴史を排除して、台湾史を過度に特別視することではない。本講義は世界中の研究者がそれぞれの国の観点から「東アジアの歴史」を語る。世界中の歴史観を学生が肌で感じ、台湾史と突き合わせることではじめて、世界史的な視点から台湾史を紐解くことができる」とその意義を述べました。
地域や範囲を限定した一国史的、一地域的な歴史叙述から、世界的に時代を超えて普遍的な事象を描き、点から線へ、線から面へと世界史を立体的に構築する。世界中の人々が国境を越えてお互いに関心を持ち、思いやり、平和な未来へと歩んでいく。台湾の学生が琉球・沖縄の歴史を知り、台湾史との共通点・相違点を考え、そこから普遍的な摂理を学ぶ姿を見ると、歴史学を学ぶ大切さを改めて実感しました。
報告:山城 智史(リベラルアーツ機構 上級准教授)
講義名:戦後東アジアにおける人権と政治経済の発展
テーマ:琉球・沖縄の歴史
日程:2021年5月28日〜6月25日(120分/1回×5回)
使用言語:中国語
ビデオ会議ツールを利用した講義