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英語圏コース
英語圏コース総評
2019年8月31日(土)から9月16日(月)まで17日間にわたり、ミシシッピ大学で現地実習を行いました。8月31日に那覇を発ち、成田、デンバー経由でメンフィス空港に到着し、そこから同大学のバスでキャンパスまで1時間余り、という長旅でした。9月13日まで滞在し、14日にシカゴで半日観光、翌15日の朝にはシカゴを発ち、成田経由で16日の夜那覇に帰着する行程でした。
学生たちはResidential College Southというキャンパス内の寮に宿泊しました。午前中はIntensive English Programで開講されるアメリカ南部の文化についての講義を聴き、午後は様々なイベントに参加しました。中でも観光地Sardis Lakeでのボートツアー、ノーベル賞作家William Faulknerが住んでいた家をもとにした博物館Rowan Oak訪問、Elvis Presleyがオーディションを受けたSun Studio訪問、南部のブルース音楽の聖地とも言えるDelta Blues Museum訪問は特筆すべきものです。前期の地域文化演習で音楽、南部文化についてある程度学んでいたので、現地を訪ね、学びを深めることができました。 同大学の魅力は多くあります。まず、Oxford市内中心部にあるThe Squareに大学寮から歩いて行き、夕方歩いて帰っても全く問題ないほど「全米で最も安全なcampus town」Top5に入るほどの治安の良さと、「古き良きアメリカ」を体現するSouthern hospitalityあふれる土地柄です。次に、キャンパスの美しさとアカデミックレベルの高さ、アメリカンフットボールなどスポーツにおけるレベルの高さなどです。今回が初の海外、あるいは初のアメリカと言う学生が多く、まさに「アメリカの良いところ」を存分に体験できました。更に、講義を聴くだけでなく、ネイティヴ・アメリカンについてのプレゼンテーションを行うとともにRowan Oak訪問のレポートも提出しました。更に最終日に本実習での経験をまとめて英語で5分間プレゼンテーションし、それを録画してVelsieにメールで送るなど、英語を使う環境に常にあったことは有意義でした。
最後に、実習の全計画を担当してくれたAshleyとその産休後に全てを引き継いでくれたTracy、すべての授業を担当してくれたVelsieとツアーなど出かける際に常に同行してくれた大学院生のCayleeと統括者のWhitneyに深い感謝を述べます。
総評:中村 浩一郎(国際文化教育研究学系 教授)
サザン・ホスピタリティという文化
河嶋 恭子(語学教育専攻3年次、熊本県・ルーテル学院高校出身)
8月31日(土)〜9月16日(月)の約2週間、アメリカへの現地実習に参加しました。ミシシッピ大学の寮に滞在し、昼間に授業を受け、午後はミシシッピ大学のあるオックスフォードという街を観光し、更に、メンフィス市にあるエルビス・プレスリーで有名なサン・スタジオを訪問し、ブルースミュージックの発祥であるクラークスデールで音楽について学ぶなど、様々な活動に参加しました。
現地の授業でアメリカ南部の文化や歴史を沢山学びましたが、私が1番印象に残ったのはサザン・ホスピタリティです。現地実習に行く前に履修する地域文化演習で、アメリカ南部について学んだ中でそれを学びました。サザン・ホスピタリティとは、道端で初対面の人にも挨拶をし、来客者を喜んで歓迎するという「おもてなしの文化」です。私はこれを直に体感しました。まず、ミシシッピ大学のコーディネーターたちは、ミシシッピに着いた次の日にウェルカムディナーとして地元の有名なレストランへ連れて行ってくれて歓迎してくれました。更にコーディネーターのうちの一人はオックスフォードの観光地先で、見知らぬ人に対して「How are you doing?」と気軽に声をかけていました。また、寮の中にあるカフェテリアで朝食を食べる際に何を食べるか迷っていたとき、受付の女性が「ワッフル食べる?」と話しかけてくれて、綺麗なワッフルを作ってくれました。現地実習に来るまではサザン・ホスピタリティというのは本当にあるのかと少し疑っていましたが、実際に触れてみてとても心が温まる良い文化だなと思いました。
オックスフォードに住む人達は、オックスフォードはとても良い街だと口を揃えて言っていたのですが、本当にそうだと思います。また行きたいと思える素敵な街に行くことができて嬉しいです。
国際協力コース
国際協力コース総評
令和元年度の現地実習国際協力コースでは、国際文化専攻3年次9人の学生が夏休み期間中に、それぞれ国際協力事業実施機関にて2〜3週間の実習(インターンシップ)を経験しました。具体的には、玉城烈さんと津江原野さんが浦添市の「独立国際協力機構(JICA)沖縄センター」、井上怜さん・上原ゆみこさん・堀之内裕一さんが宜野湾市の「沖縄NGOセンター」、時岡芽唯さんが佐賀市の「佐賀県国際交流協会」、水井颯人さんが前橋市の「JICA群馬デスク」、新垣達生さんが東京都の「特定非営利法人ADRA Japan」にて、それぞれ就労体験をしました。
参加学生はそれぞれの受入れ機関で、国際協力や発展途上国援助や国際交流に関係する実務の補助を行ったり、職員、海外研修員、その他交流した方々から貴重な実務体験談を聞いたりしました。こうして、本学での座学で学んだ「理論」や「知識」を、国際協力や開発援助の現場での「実践」と「体験」を通して確認し、実務を理解する貴重なフィールド学習の機会を得ました。また、実習期間中は、国内外での英語やその他の外国語による職務を体験したり、講習会や研修の運営補助をしたり、さまざまな国籍を持つ方々と交流したりもしました。こうした経験を通して、英語やその他の外国語でのコミュニケーション能力、コンピューターリテラシー、及び異文化理解の大切さを再認識し、そうした能力を学生時代に身につける意欲を大いに高めたようです。
本来なら、それぞれの受入れ機関での実習内容を詳しく紹介すべきところですが、字数制約のため、ここでは津江原野さんの「JICA沖縄センター」での実習体験と、時岡芽唯さんの「佐賀県国際交流協会(SPIRA)」での実習体験の二例を、本人たちの文章で紹介したいと思います(下記参照)。
最後に、ご多忙にもかかわらず本現地実習国際協力コースの趣旨をご理解いただき、学生のインターンシップを快くお引き受けいただいた県内外の各国際協力機関の担当者各位に、心より感謝の意を表します。貴殿の丁寧なご指導ご支援のおかげで、参加学生は多くのことを学び、これからの勉学及び卒業後のキャリアを設計するための大変貴重な示唆を得たようです。
総評:高嶺 司(国際文化教育研究学系 教授)
JICA沖縄国際センターでの学び
津江 原野(国際学群国際文化専攻3年次、宮崎県立宮崎北高校出身)
私は、8月26日(月)から9月6日(金)までの約2週間、浦添市にある「JICA沖縄国際センター」で実習を行いました。独立行政法人国際協力機構(JICA)は国の予算で政府開発援助(ODA)を実施する国際協力機関で、近年は特に国連の持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みに力を入れています。JICA沖縄は全国に15か所あるJICA拠点施設の一つで、沖縄県の特色を生かした活動も行っています。
今回の実習では、はじめの1週間はそれぞれの事業に携わるJICA職員の方々から事業説明を受けました。国際協力や開発援助事業の内容が幅広く、かつ専門的で、国内の大中小企業や海外の企業、途上国の情勢についての情報を扱っていることが印象的でした。そのほかにも、実際の国際協力事業プログラムの体験もさせていただき、とても身になる有意義なインターンシップとなりました。
また、JICA沖縄国際センターの施設内にある「OIC食堂」は、毎日様々な国の料理を提供しており、海外からの研修員だけではなく地域の人達にも親しまれる食堂でした。そこには、文化や生活のバリアフリーを見ることができました。今回の実習で得た貴重な知識、経験を今後のキャリア形成につなげていきたいです。
SPIRAでの国際交流活動に関する学び
時岡 芽唯(国際学群国際文化専攻3年次、鹿児島県立喜界高校出身)
私は、8月26日(月)から9月6日(金)までの約2週間、佐賀県の「佐賀県国際交流協会(SPIRA)」で実習を行いました。SPIRAは、佐賀県に住む外国人の生活支援や国際交流活動の支援など多文化共生を軸とした事業を行う協会です。
実習中では日本語教室「にほんごすいもく」の見学をさせていただき、日本語教育だけでなく、日本人と外国人の関係づくりも重視している点に驚きました。また、技能実習生への日本語教育など様々な課題も知ることができました。そして、多言語支援センターの活動を間近で見て、時間とともに情報が変化する中での翻訳の難しさも学びました。
そして、職員の皆様の「日本人も外国人も快適に暮らせる社会を実現したい」という思いに感銘を受けました。今回の実習は、防災や教育など日本に住む外国人の生活上の問題に目を向ける機会になりました。今後は、実習で学んだことを生かして勉学に励みたいです。
東アジア(台湾)コース
東アジア(台湾)コース総評
今年で6回目となる東アジアコース(台湾)は、令和元年8月10~24日の15日間をかけて、台湾、タイをまわりました。参加学生数は7人でした。
語学研修は、国立台湾師範大学で3日間の実践中国語講義を受けました。協定大学の開南大学では、人文社会学院の趙順文教授より、開南大学と日本の歴史的つながりに関する集中講義を受け、本学に秋から留学予定の学生との交流を行ったほか、国立政治大学も訪問しました。中壢では、中平路故事館と忠貞市場を訪れました。新竹では徳川日語を訪問し、卒業生で日本語教師の横岡怜海さんから、海外で働く面白さに関する講義をしていただきました。フィールドトリップは、日本統治時代最大の沖縄人集落のあった基隆・和平島(旧:社寮島)を訪れ、琉球漁民慰霊碑(琉球ウミンチュの像)や福徳正神廟・萬善公を見学しました。台湾/中国史の学びについては、国家人権博物館、二二八国家紀念館、中正紀念堂、国父紀念館などを訪れました。
今年は昨年同様、台湾の後にタイ国北部(チェンマイ~チェンライ)も訪れました。チェンマイ大学では、日本研究センターの若曽根了太講師による日タイ関係史の集中講義が、同じく冨永悠介講師からは実習生が訪れた基隆・和平島に関する集中講義がありました。そのほか、「琉球語講座」を実施し、現地学生との交流を行いました。また、中国国民党の残党が形成した、ミャンマー国境に接する山岳地帯に位置するメーサロンを訪問し、泰北義民文史館も訪れました。
今回の実習では、昨年同様に台湾を中心として、東アジアと東南アジアを架橋し続ける中国現代史について学ぶ内容が大きな特色でした。タイのメ―サロンでは、蒋介石による「大陸反攻」の指令を待ち続けるも実現せず、武装解除をしてタイに帰化することとなった中国出自の方々とお会いし、貴重な経験となりました。一部の方々が1950年代に台湾に退去して形成したコミュニティである中壢の忠貞市場では、雲南米干を食しながら、激動の中国現代史に思いをはせました。実習生の先輩として多大な貢献を果たしてくれた戒田峻補助員を始め、今年も実習にご協力いただいた多くの方々に心からの感謝を申し上げます。
総評:菅野 敦志(国際文化教育研究学系 上級准教授)
私の考え方を変えてくれた現地実習
村上 陽香(国際文化専攻3年次、熊本県立八代清流高校出身)
台湾の中正紀念堂や二二八国家紀念館で、戦後の中国大陸との繋がりや現在の台湾になるまでの歴史を学んだ一方、基隆・和平島の琉球漁民慰霊碑を前に、戦前沖縄の人が台湾の人と共存していた歴史を学んだことはとても印象深かったです。台湾には日本統治時代に建てられた市場や日本家屋が今でも残されていました。日本時代の台湾人も日本式の生活をしていたと思うと、台湾は日本と全く異なるという思い込みが覆されました。また、国立台湾師範大学での中国語研修は楽しく、もっと中国語を使いたいと思うほど語学学習に興味が湧きました。
タイでは北部のチェンマイを訪れました。チェンマイ大学で集中講義を受け、琉球語講座を行い、同大の学生たちと交流しました。彼らは日本語が堪能で、色々なところに付き添ってくれました。彼らが日本語・日本文化を学んでくれる熱意を嬉しく思うと同時に、私たちも外国語・文化を進んで学ぶべきことを痛感しました。チェンライのメーサロン村では、国民党の人々がタイまで来て村を形成したことをこの目で確かめ、タイにも台湾との繋がりがあり、遠く離れた国でも歴史を紐解けば必ず何かの繋がりがあることに気が付きました。
この現地実習は個人の旅行とは異なり、様々な場所を訪れてその国の歴史や日本との繋がりを学ぶことができます。国の見方やイメージが変わり、新たな考え方や価値観を手に入れることができ、参加して本当に良かったと思いました。
東南アジアコース
東南アジアコース総評
現地実習東南アジアコースは、9月10日(火)から24日(火)までの15日間、12人(3年次11人、4年次1人)が参加して行われ、マレーシア、タイを訪問しました。
前半のメインは学生交流で、マレーシア・プトラジャヤのスルタン・アラムシャー中等学校で日本語パートナーズとして勤務中でした本学4年次山川雄平(国際文化専攻、福井県立大野高校出身)の紹介で、日本語を学ぶ4年生(日本でいえば高校1年生)と交流しました。その後、ジョホール州の国際イスラム大学を訪問し、同大学の渡邉かおり先生の協力のもと、日本語を学ぶ大学生たちと交流しました。いずれも大変な歓迎を受け、密度の濃い交流となりました。大学では4泊5日の寮生活。シャワーが水のみだったり、食べ物が辛かったりと大変さもありましたが、マレー人学生と寝食をともにし、イスラム教徒の暮らしぶりを間近で見られたことは大きな刺激になったようです。学生たちは、口々に宗教に対する考え方が変わったと感想を語ってくれました。
実習後半はマレー半島を転々と北上してのフィールドワークを行い、マレーシアのクアラルンプル、ペナンでは、さまざまな民族・宗教が共存する多文化社会を肌で感じました。ペナンでは、世界遺産となった旧市街の町並み保存に尽力するペナン・ヘリテージトラストの案内で、モスク、中華系寺院、ヒンドゥー寺院が立ち並ぶ「ハーモニー・ストリート」を見学しました。タイでは、バンコクの豪華絢爛な王宮や仏教寺院、アユタヤの遺跡を訪れました。移動を重ねるごとに少しずつ変化する景観から、東南アジアの文化の多彩さ、重層性が実感できました。マレーシアでは、ヘイズ(熱帯雨林開発のための山焼きに起因する煙害)に悩まされましたが、これも環境問題を考えるきっかけとなったかもしれません。
学生たちには、この経験を糧に帰国後もどん欲に知識を吸収し、視野を広げていってほしいと思います。最後に、この実習にあたり、ご協力いただきましたすべての皆様に感謝申し上げます。
総評:坪井 祐司(国際文化教育研究学系 上級准教授)
座学だけでは学べない現地実習の魅力
山城 高太郎(国際文化専攻3年次、沖縄県立前原高校出身)
私たち「東南アジアコース」は夏休み期間の2週間を利用してマレーシア、タイを訪れ、それぞれの地域の文化、問題、歴史などを学習してきました。
マレーシアでは4日間国際イスラム大学の学生たちと寝食を共にしました。国際イスラム大学では、イスラム教やマレーシアに関する特別講義も受講させてもらいました。
私は今までイスラム教について学習してきましたが、『負』のイメージが多少ありました。しかし実際にイスラム教徒の学生と交流し、意見を聞く中でそのイメージは払拭されました。また、早寝早起きのような日本人にとっても馴染み深いこともイスラム教には存在していて、それを宗教的に見るか否かなど、日本とマレーシアの宗教観の違いも考えることができました。
タイではアユタヤの日本人村へ行き、当時の日本とタイの関わりを学びました。禁教令との繋がりからアユタヤに亡命した日本人もいたことなど、無宗教と言われる日本人の中にも宗教に対して強い思いを持った人が存在していたということを知りました。
現地実習では日頃大学で学んでいることを自分の目で確認できたこと、座学では学べないことを沢山知ることができました。人数も多く個性的なメンバーが集まったので最初は心配でしたが、みんなに助けられてより仲を深めることができました。今回学んだことをこれからの人生に活かしていきたいと思います。
日本コース
日本コース総評
今年の現地実習日本コースは8月29日(木)から9月11日(水)の13泊14日で行いました。参加学生は5人(男2人、女3人)でした。例年通り前学期の「地域文化演習」で行き先や実習内容を決定しました。実習では、各地の史跡・博物館を訪れたり、現地で専門家の話を聞いたりしました。
最初に北海道を訪れました。江差町は、江戸時代に日本海を往来した北前船の拠点となった港町でした。江差追分という民謡や商人の住宅が、船がもたらした文化や繁栄を感じさせました。隣町の上ノ国町の勝山館跡は、本州から北海道へ渡った人々が拠点とした室町時代の城跡です。そこから広大な大地と海を見渡しながら、北海道の歴史を、本州から来た人々とアイヌとの関係の歴史を思いました。
続いて、青森県・岩手県に移動しました。青森県五所川原市にある十三湊遺跡は室町時代に港町として栄えた場所です。今ではのどかな場所なのですが、十三湊に詳しい専門家にご案内していただいたことで、往時の繁栄を想像することができました。岩手県では遠野や中尊寺といった観光地にも行きましたが、特に印象的だったのは、2011年の東日本大震災の被災地である陸前高田市・大船渡市を訪れたことです。新しい建物が並ぶ町並は被害の大きさを感じさせ、被災した方、文化財の救助にあたった方の話を聞くことで、被害の状況を知るとともに、歴史を、文化財を守っていくことの大切さに改めて気付かされました。
最後の目的地は東京都でした。東京大学史料編纂所では戦国時代の貴重な古文書を見学させていただくことができました。また、遊郭だった吉原を巡りながら、江戸時代の文化を学びました。
実習の間に様々な土地を巡りました。それぞれの土地にそれぞれの歴史があります。そのことを知り、そして自分たちの身近にも、無意識に歩いていては気付かない、歴史を伝える多くのものがあることに目を向けてもらえたなら嬉しいです。最後となりましたが、実習期間中に各地でお世話になりました多くの方々と、今年も一緒に引率をしてくださった照屋理先生に感謝いたします。
総評:屋良 健一郎(国際文化教育研究学系 上級准教授)
北の歴史を旅する
小橋川 響(国際文化専攻3年次、沖縄県立北部農林高等学校出身)
私達現地実習日本コースの学生は、今回の実習のテーマを「北の港の歴史」としました。北海道と東北において歴史上重要とされてきた港を巡るルートです。
実習先のほとんどが初めて訪れる場所でした。史跡として整備されている場所だけでなく、蜂や虫の出る山道を歩いて城跡を見学した日もあります。現地実習では実際に足を運ぶことでしかできない考察をする機会を多く得られました。また、日程の終わりごろに到着した東京では、東京大学史料編纂所の方々にご協力いただき、一般では見ることが難しい貴重な古文書を閲覧させていただきました。
実習で特に印象的だったことは、東日本大震災で被害に遭った地域を見学したことです。陸前高田市やその周辺地域を見て回り、復興の様子も実際に見聞きしました。過去にこの地域であった津波の状況を記す文書や石碑も見学し、こういった資料を集めて分析し現代の災害予測に役立てることも、歴史を研究する意味の一つであることを学びました。過去のことを学んで何の意味があるのか、という疑問を皆さんも一度は持ったことがあるのではないでしょうか。それに対する答えを一つ得られたことが、今回の実習の大きな成果だったと私は思います。
これから現地実習に参加する学生の方は、現地で体感しなければわからないことを意識してみてください。自分の糧になる体験ができるよう応援しています。
沖縄コース
沖縄コース総評
令和元年7月6日(土)の屋我地・愛楽園訪問を皮切りに、主に夏季休暇中の期間、奄美・徳之島、沖縄本島北部および中南部、宮古島を巡見する現地実習(沖縄コース)を実施しました。
奄美諸島地域では、8月19日(月)~21日(水)に徳之島を訪れ、琉球文化と日本文化の邂逅を、島内を巡見することで体感しました。特に徳之島には、いわゆる一揆が歴史的にほとんどないとされる琉球文化圏において、幕末に「犬田布義戦」とも称される一揆のあった地域であり、そのゆかりの地を巡り歴史的事象を体感しました。
沖縄諸島地域ではまず、7月20日(土)~21日(日)に伊江島を訪問、島内の史跡および戦跡を巡見した後、阿波根昌鴻さんの設立したわびあいの里を訪問し、謝花悦子館長より沖縄戦と平和についての講話を拝聴しました。
8月18日(日)には大宜味村塩屋にて国の重要無形民俗文化財「塩屋のウンガミ」を見学しました。あいにくの雨天で、また昨年と異なりノロ(神とこの世をつなぐとされる存在)が不在の中での行事で、各場所での拝みが簡略化されたり、最後のピャーシも奉納されず、ノロがいないことの行事への大きな影響を目の当たりにすることができました。
8月22日(木)~23日(金)は沖縄本島中部読谷村のアブチラガマやジェット機墜落事件のあったうるま市立宮森小学校を訪問し、戦跡の理解を深めました。また沖縄本島南部の八重瀬町高良や糸満市武富を巡見しそれぞれの地域の拝所等を巡見、集落内で完結する世界観を確認しました。
また8月23日(金)は巡見後、沖縄県立芸術大学を訪問し、比嘉いずみ准教授とそのお弟子さん達に、琉球舞踊の歴史や所作等をご指導いただきました。 8月24日(土)~26日(月)は宮古島巡検を行いました。宮古地域では地域の史跡について伝承話等を参考に巡検し、特に、1771年に発生した明和の大津波で打ち上げられたとされる津波石を実見し、自然の脅威を体感しました。
最後に沖縄県立芸大でのワークショップについて触れておきます。芸大では、同大准教授であり親泊流「輝てぃ會」会主の比嘉いずみ先生に、琉舞の歴史と基本的な所作をご教示いただいた後、「かぎやで風」の実践をご指導いただきました。比嘉先生のご指導は厳しくも優しく、ワークショップ終了後には、参加者全員が「かぎやで風」をマスター?しました。受講生たちに大きな刺激を与えるものでした。比嘉いずみ先生のお陰でまた今年も有意義な実習となりました。紙面を借りて感謝申し上げます。
最後に今年度も、猛暑の中ご引率いただいた嘉納英明先生、屋良健一郎先生に感謝申し上げます。
総評:照屋 理(国際文化教育研究学系 上級准教授)
沖縄の新しい発見を
福田 彩乃(国際学群国際文化専攻3年次、長崎県立佐世保北高校出身)
私が所属している国際文化専攻沖縄コースは、沖縄の文化や歴史について学び継承していく人材を輩出するコースです。今回の現地実習では、伊江島、宮古島、徳之島、大宜味村、読谷村、八重瀬町、糸満市へ行きました。
私が特に印象的だったのは宮古島です。宮古島にはハンセン病患者の収容所であった、国立療養所宮古南静園があります。南静園ではハンセン病患者が受けた屈辱的な差別や沖縄戦のときに受けた酷い仕打ちについて学ぶことができました。
今回の現地実習を通して、普段何気なく過ごしていても、すぐ近くに密接に関わる沖縄文化があったり、観光地でない本当の沖縄を垣間見ることができたりと、私にとって貴重な経験となりました。
沖縄コースの現地実習の良いところは、一カ所だけではなく様々な場所へ行くことができることだと思います。ゼミメンバーの沖縄県内出身地やゆかりある場所へ行くことが多いですが、その土地の歴史や遺跡は案外知らないことがたくさんあります。また、観光地ではない部分の新しい沖縄を発見することができます。来年現地実習へ行く皆さんも、沖縄の新しい発見ができるよう頑張ってください。
教育支援コース
教育支援コース総評
教育支援現地実習は、語学教育専攻において平成19(2007)年から実施され、本年度で12回目となった取り組みです。 この実習は、第一点目に、「地域の学校で教育ボランティアを行うことで、地域の教職員を補助し、貢献すること」、第二点目に、「大学の教職課程では学ぶことのできない学校の組織、学校が抱える諸問題、実践的な教授法等を理解すること」、第三点目に、「児童生徒とのふれあいおよび教師の指導に対する理解を深めること」、第四点目に、「職業における厳しさを体験することにより、責任感、自立心を育成すること」の四点を目的として行われているものです。
本年度は、8月26日~9月27日の間に、3年次の語学教育専攻学生8人が、5つの学校にて本実習に取り組みました(大宮中学校<池田 充希さん(広島県立神辺旭高校出身)・菅原 瑛里紗さん(新潟県立新潟中央高校出身)・山本 優子さん(熊本県立宇土高校出身)>、名護中学校<宇津木 志帆さん(茨木県立鉾田第一高校出身)・大嶺 佳奈さん(沖縄県立那覇西高校出身)>、東江中学校<町田 ひかりさん(長崎県立壱岐高校出身)>、名護高等学校<黒阪 侑香里さん(鳥取県立鳥取東高校出身)>、糸満市立西崎中学校<真栄城 佳以さん(沖縄県立向陽高校出身)>)。
実習生は、朝のあいさつ運動から、放課後の部活動まで教育実習生とほぼ同様のスケジュールを経験し、授業の見学や授業等での学習支援、体育会等の行事の補助、久志駅伝・地区陸上大会にむけた指導補助、学校内外の環境整備、放課後や週末の部活動指導の補助等、多方面にわたって学校を支援する取り組みを行いました。
実習後に提出されたレポートでは、「一人の教師が多くの子どもの学習指導を行う難しさ」、「学校現場で起こっている問題とそれへの対応」、「朝早くから夜遅くまで取り組む教師の姿」、「教師の子どもには見えないところでの努力」、「学校での業務の多さ」、「生徒たちとのふれあいから産み出される喜び」等々、それぞれの実習生が本実習を通して学び、感じ取ったことが報告されました。また、教職をめざす上での現状と課題を認識する貴重な機会となったことが報告されました。このような報告から、本実習が目的としていた諸点が一定程度達成されたことが確認できると考えています。実習生が、本実習で学び、考えたこと、感じ取ったことを総括し、今後、進むべき道を検討、決定することを望みます。
本実習中に、大変、お世話になりました、各学校の校長・教頭先生をはじめとする教職員の皆様に深く感謝申し上げます。皆様のご協力によって実施することができた本実習を通して、実習生たちは大きな成長を遂げたと確信しております。
総評:板山 勝樹(国際文化教育研究学系 教授)
東江中学校で学んだこと
町田 ひかり(語学教育専攻3年次、長崎県・壱岐高等学校出身)
令和元年8月26日(月)から9月13日(金)までの約3週間、名護市立東江中学校にて実習をさせていただきました。私がこの実習に参加した目的は、教員免許取得に向け、学校の実態の把握と子どもたちとの接し方について学びたいと思ったからです。
本実習では、1週間ごとに担当クラスが変わり、計3つのクラスを担当させていただきました。学年やクラスごとに雰囲気が変わり、それぞれのクラスの良さを感じることが出来ました。今回の実習では、基本的に担当クラスの授業に入り、机間指導をさせていただきました。また、特別支援学級での学習支援等もさせていただき、それぞれの生徒に合わせた指導をすることの難しさを経験しました。 東江中学校は、学びの共同体を重視していることもあり、生徒同士の結び付きが強く、また生徒と教師の距離が近いこともあり、大変和やかな雰囲気の中、3週間過ごすことができました。
この3週間を通して、先生方が抱える悩みを共有する中で、個々の生徒にあった指導をすることの難しさを学びました。また、先生方の学び続ける姿勢を目の当たりにし、自分のなりたい教師像について考える良い機会になりました。子どもたちとの関わり方や、授業の仕方で難しいと感じることも多かったのですが、それ以上に子どもたちと関わることの楽しさを感じることができ、とても有意義な3週間でした。この経験を糧に今後も精進していきたいです。
中南米スペイン語圏コース
中南米スペイン語圏コース総評
令和元年9月4日(水)から9月18日(水)の15日間、学生8人および引率教員2人の計10人で、ペルーにて実習を行いました。前半は首都リマに1週間滞在し、協定校のパシフィコ大学およびラウニオン学校、ペルー日本人移住資料館、神内先駆者センター(日系人高齢者デイケア施設)、ペルー沖縄県人会を訪問し各団体と交流会を実施しました。交流会では引率教員の一人である嘉納英明先生がご出版された絵本『82歳の中学生 はっちゃん』を紙芝居にしてスペイン語で朗読するという試みをしました。この絵本は嘉納先生の母が沖縄戦のために学校に通えなかった少女時代の実話を元にした物語ですが、沖縄出身の方が「私も全く同じ境遇で戦争のために学校に通えず、その後ペルーに移住したのです」と話をしてくださいました。
リマ滞在最終日にはナスカの地上絵をセスナ機に乗って見学するツアーにも参加しました。空の上から巨大な地上絵を見つけるたびに学生は歓声をあげていました。
2週目はインカ帝国時代の帝都であったクスコに滞在しました。午前中はスペイン語の集中講義を受講し、午後は太陽神殿、インカ博物館、市場、インカの石積みの上にスペイン植民地期のコロニアル建築が立ち並ぶクスコの中心地を散策するなどしました。
また、日本語を勉強しているクスコの若者と交流会を行いました。学生はスライドで写真を示しながら、出身地の食べ物や観光名所などを日本語と英語で紹介しました。
クスコ滞在の最後にはマチュピチュ遺跡を見学しました。遺跡ガイドの方が若者の流行をよく理解していて、遺跡内に多数ある「インスタ映え」スポットでプロ顔負けの写真を撮ってくださいました。
ペルー滞在最終日は再びリマに戻り、本学の客員教授である我那覇宗孝先生によるペルー沖縄移民の歴史について講義を受けました。交流会、集中講義、遺跡見学と非常に充実した現地実習となりました。
総評:上原 なつき(国際文化教育研究学系 准教授)
体験することの大切さ
叶 実里(国際文化専攻3年次、沖縄県立前原高校出身)
私はアルゼンチンに暮らす叔母といとこに会うため、去年の3月に母と一緒にアルゼンチンを訪れました。その際に南米の人々の温かさや陽気な雰囲気が気に入ったので、スペイン語圏コースを選択しました。
ペルーのリマでは、沖縄県人会の方々やラウニオン学校の小学生と交流を行いました。また、日本人移住資料館や日秘会館を訪れ、日系人の方から直接、日本人移民の歴史を学ぶことができました。クスコでは4日間スペイン語クラスを受講しました。1人1人が発言できる授業構成や、ジェスチャーゲームで楽しく学べる工夫がされ、積極的に学ぶことができました。また、クスコは徒歩で街全体を楽しめるので博物館や土産屋、市場などを巡り充実した毎日を過ごしました。しかし、標高が高いので高山病からは逃げきれないですね。かからない人もいますが私はとにかく息が切れました。
ペルーで一番印象に残ったのは、やはりナスカの地上絵とマチュピチュでした。実際に自分の目でみるとその迫力に圧倒され言葉を失うほどでした。その他にも、博物館や遺跡など様々な場所を訪れ、ペルーの歴史や文化を実践的に学ぶことができました。2週間の実習を通して親切で心温かいペルーの方々と出会えましたが、その一方で、物乞いをする人々や小さな子どもが路上で物売りをしてお金を稼ぐ姿には複雑な思いが生まれました。実際に足を運ばないと分からないことも多くあることを知りました。
中南米ポルトガル語圏コース
中南米ポルトガル語圏コース総評
2019年9月5日(木)から19日(木)の15日間、木村天音(国際文化専攻3年次、静岡県・私立星稜高校出身)、近藤真生子(国際文化専攻3年次、大分県立宇佐高校出身)、野村有那(国際文化専攻3年次、広島県立井口高校出身)、冨着梨里花(国際文化専攻3年次、沖縄県立浦添商業高校出身)の学生4人と菅野敦志上級准教授、加えて住江淳司の6人は、25回目となる中南米現地実習ブラジルコースの実習を心から満喫しました。ここで満喫という表現を使ったのは、この研修旅行を終えた4人の学生全員が、また協定大学のあるブラジル連邦共和国、パラナ州、ロンドリーナ市に、もう一度1年間の留学で戻って来たいと言ったからです。この気持ちは何処からくるのであろうかと、ふと考えてみますと、それは現在の沖縄でも、また日本でもなくなりつつある現地にある「おもてなしの心」ではないだろうかと思われます。つまり、中南米現地実習には英語圏、アジア圏にはない沖縄県人会との交流会があり、加えてブラジルコースには、毎年ロンドリーナ州立総合大学から名桜大学に1年間の交換留学に来た学生たちが帰国後、現地実習生の案内役をかってくれるからです。特に沖縄県人会主催の歓迎会には月曜日という週初めの平日にもかかわらず、200人程の沖縄県人の1世から4世までの人々が集まり、3時間にも及ぶ文化交流の催し物で我々を歓迎してくれました。またロンドリーナ空港に我々一行が到着した時と、帰国の時には協定校の先生方、名桜大学に交換留学生として過去に学んだ学生たち、それに名護市とロンドリーナ市が姉妹都市であることからロンドリーナ市役所の関係者ら総勢30人程の方々が来られていました。特に帰国の際には、本学の実習生が涙を流して別れを惜しむ場面を見るにつけ、小職と菅野上級准教授も思わずもらい泣きをしてしまいました。現代の沖縄でもなくなりつつある「イチャリバチョーデイ」の精神が、地球の裏の沖縄コミュニティに「古き良き沖縄のチムグクル」と共に残っているのを垣間見ることができた瞬間でした。
今年で25回を数える中南米現地実習を初回から今回まで担当させてもらい、幸せな教員人生を送ることができたと名桜大学には、深く感謝しています。この必修の実習が永遠に続くことを願って止みません。
総評:住江 淳司(国際文化教育研究学系 教授)
遠くて近いブラジルでの実習
木村 天音(国際文化専攻3年次、静岡県・星陵高校出身)
私は中南米ポルトガル語圏コースで、9月5日(木)から9月19日(木)までの15日間実習を行いました。このコースの主な国はブラジルです。そして、協定校であるロンドリーナ州立総合大学があるロンドリーナが主な滞在地でした。加えて隣国であるアルゼンチン、イグアスの滝も訪れました。
ロンドリーナで一番初めに衝撃を受けたことは、ロンドリーナ空港に私たちが到着して到着ゲート出た瞬間たくさんの県人会の方々が出迎えてくださったことでした。その人数の多さに衝撃を受けました。そこからブラジルでの実習が始まりました。ロンドリーナでは、県人会の方々が主催してくださったパーティーに参加したり、博物館を含めた市内散策、協定校のロンドリーナ州立総合大学学長表敬訪問、ロンドリーナ市長表敬訪問、講義への参加など、とても密度の濃い時間を過ごしました。また、アルゼンチンでは日本では見られないほど大きな滝を見ることができました。どんな場面でも沖縄県人会の方々や日系の方々、留学生の助けがありとても充実した実習ができたと思います。ブラジルは距離的にも日本からとても離れていて、賑やかや危険といった簡単なイメージしかないかもしれませんが、実際に訪れてみるととても温かく、どこか沖縄に似た雰囲気も持った、イメージとのギャップの大きい国だと思います。その中に、より興味を掻き立てるものや刺激を受けるものがあり行ってみなければわからないことがたくさんあると感じました。だからこそ行った後の満足感や達成感が大きいと思います。今後参加される皆さんにもぜひこの経験をしてほしいと思います!
日本国内に見られたブラジル文化の数々
兒玉 聡也(国際文化専攻4年次、静岡県・私立藤枝明誠高校出身)
平成30年度住江ゼミ生5人は、冬期休暇期間中の2019年2月27日(水)から2019年3月8日(金)までの10日間、群馬県の大泉町と草津町、神奈川県の横浜に滞在しました。夏季休暇中にブラジルへ行く予定でしたが、諸々の事情により日本国内のブラジルに関連する地域を回ることになりました。
実習が始まって最初に訪れた大泉町では、「多文化共生コミュニティセンター」や「日伯学園」、ブラジル色全開のスーパーやレストランにお邪魔しました。出稼ぎで多くの外国人が住み、その過半数をブラジル人が占めるという特殊なコミュニティで、現地の人たちがどのように協力し生活しているのかを、肌身に感じて学ぶことができました。
次に、群馬県内の草津町へも実習に行きました。大泉町からは距離がありますが、同じ県内であり名所でもあるので、外国人の利用度を調査する名目で訪れました。結果は、ブラジル人の利用者は少ないが、草津地域に住む中東やインドの人は多いということがわかりました。
最後に訪れたのが神奈川県の横浜で、日本-ブラジル間の人の移動を援助している「JICA」や「移民資料博物館」を見学したり、日本企業の海外進出の一端を担った島津公夫さんとの会談をしたりしてきました。現物を見たり実体験を聞いたりして、2ヵ国間の歩んだ歴史を追体験することができました。
短い期間ではありましたが、日本国内で外国を体感できる施設や現場を回ることができ、貴重な時間を過ごすことができた実りある実習になりました。