東アジアコース(台湾)総評
今年で4回目となる東アジアコースは、台湾コースと韓国コースができて選択肢が増えることとなりました。台湾コースは、平成29年9月3~17日の15日間をかけて、台湾、サイパン、グアム、マニラをまわりました。参加学生数は16人でした。
語学研修は、国立台湾師範大学で3日間の実践中国語講義を受けました。専門家による集中講義は、総統府直属の研究機関である中央研究院社会学研究所で元所長を務められ、現在は蔡英文政権で「総統府資政」として国政に関するアドバイザーを務められている蕭新煌研究員や、近代史研究所の林泉忠副研究員から、台湾の社会や政治に関する特別講義を受けました。また、徳川日本語学校の柘植美幸校長、沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)台北事務所では林秀佳所長代理からも、将来の職業につながる実践的な講義を受けました。その他、台北二二八紀念館、中正紀念堂などを訪れました。
サイパンでは、デイビッド・アパタン サイパン市長による歓迎昼食会があり、郷土史家のリノ・オロパイさんとニッキー・ニコルズさんから特別講義を受けました。その他、北マリアナ大学、北マリアナ諸島歴史文化博物館を訪問して交流を深めた他、アメリカ記念公園、バンザイクリフ、おきなわの塔、最後の司令部跡、砂糖王公園、マウントカーメル教会などを訪れました。
途中、サイパンからのフライトが機材不良でキャンセルとなったため、グアムは乗り換えだけになってしまいました。当初予定していた、協定大学・グアム大学への訪問がかなわなかったことは本当に残念でした。
マニラでは、イントラムロス見学の他、新たに協定大学となったデラサール大学を訪問しました。そして、最後にまた台湾に戻り、協定大学の開南大学で「琉球語講座」を実施し、学生との交流を行いました。また、国立政治大学も見学しました。
東アジア台湾コースでは、昨年から台湾だけでなくミクロネシアの地域も訪問しています。それは、島嶼地域の歴史と文化の共通点だけでなく、近代に入り帝国日本が最初に獲得した植民地・台湾から始まったかつての「日本」の広がりとわれわれの歴史認識について学ぶことを目的としています。実習生は今回の実習を通じて、他者を鏡として自己を知ることの重要性を痛感しただけでなく、改めて日本・沖縄の存在についても見つめ直し、現地実習でなければできない学びを深めることができた様子でした。引率を手伝ってくださった照屋理先生にもお礼申し上げます。
総評:菅野 敦志(国際学群国際文化教育研究学系 上級准教授)
台湾・中央研究院社会学研究所の蕭新煌先生と
デイビッド・アパタン サイパン市長と
台湾の協定大学・開南大学の皆さんと
台湾の中正紀念堂にて
新たな発見と出会いができる実習
堀之内 綾(国際文化専攻3年次、鹿児島県立鹿児島中央高校出身)
私がこの現地実習東アジア台湾コースを選んだ理由は、菅野先生の東アジアコースなら多彩な経験が得られると思ったからです。台湾はメインの訪問場所であり、私が一番楽しみにしていた場所でした。国立台湾師範大学で受講した中国語講座では、先生がとてもパワフルで、語学を学ぶ楽しさを感じました。中央研究院近代史研究所の林泉忠先生と社会学研究所の蕭新煌先生、徳川日本語学校の柘植美幸校長、他にも様々な分野の方々と出会い、特別講義を受けました。協定大学の開南大学では「琉球語講座」を行い、学生とも交流して友達もできました。偶然にも、交流した学生の一人は、この9月から名桜大学に交換留学予定だったため、帰国後の今も親交があり、実習に参加してよかったと思いました。
また、台北の二二八紀念館では二二八事件の悲惨さを学びました。サイパンのアメリカ歴史公園では、戦時中、バンザイクリフで米軍の説得に応じず身を投げる人々の実際の映像を観ました。その後、実際にその崖に立った時、彼らの悲しみを想像し、衝撃を受けました。これらの歴史を学び、平和な未来の実現のためどのように行動すべきかについても考えました。
今回は、台湾、グアム、サイパン、フィリピンで、自分が目標としていた学びと出会いを果たすことができました。そして、今回の実習を通して「留学もいいかもしれない」と思っている新しい自分も発見することができました。自分を知る機会としても、このような貴重な経験ができるチャンスをぜひ生かしてほしいです。
開南大学で琉球語講座を開講
二二八紀念館にて
アメリカ歴史公園にて