平成29年7月11日(火)、国際文化専攻主催「小栗謙一監督講演会」を多目的ホールにて開催しました。沖縄北部地域に関する山里学長との意見交換の後で行われた講演会では、第一部:ドキュメンタリー映画『able/エイブル』(2001年)上映会実施後、第二部:「人が"境界"をこえるということ―映画『able/エイブル』製作を振り返って―」と題して、小栗監督からご自身の経歴や映画製作に関するお話をしていただきました。企画・実施および司会は菅野が務めました。
講演では、ご自身と映画とのかかわりから始まり、細川佳代子氏(スペシャルオリンピックス日本名誉会長、『able/エイブル』製作総指揮)との出会いなど、監督自身が当該作品を撮影することとなった経緯や撮影の裏話についても詳しくお話しいただきました。そのほかにも、登場人物である元くん&淳くん、マーク&キャサリン夫妻のその後についても教えてくださりました。そして、この映画撮影での出会いを通して、それまでの4人にとって「できなかった」ことを乗りこえる―境界を乗りこえる―ことが可能となったことから、可能性を信じて他者と生きていくことの大切さを熱く語ってくださいました。
今回のイベントは、非健常者の立場・観点から「国境・言語・異文化」などの違いを乗りこえること、いわば「固定観念を問い直す」ことについて考える試みとして企画しました。学生からは、「国際的な事柄を学んでいく上でマイノリティの人々の存在は無視できないものの、大学内において彼らの存在について学ぶ機会は少なかったので、今回の講演会は良い機会だった」(国際学群4年次)、「国境をこえ、国際的になる中で一番大切なのは"言語コミュニケーション"だと思っていた固定観念がくつがえされた。相手を理解しようとする心が一番大切なことなのだと感じた」(国際学群3年次)といった感想がありました。
また、一般の参加者からも、「障がい者へのかかわりについて、ボーダーを引いているのは自分自身であることに気が付きました。すばらしい気づきの機会をありがとうございました」といった感想が寄せられました。今回は菅野が自費にて監督を招へいしましたが、こうした機会をより多く実施することも地域貢献活動として重要であることを強く実感しました。改めて、ご多用のなか本学まで足を運んでくださり、多くの気づきと感動を与えてくださった小栗監督に心から感謝の意を表したいと思います。
報告:菅野敦志(国際文化教育研究学系 上級准教授/国際文化専攻長)
学長室にて、山里学長(左)と小栗監督(右) | 小栗監督によるご講演 | 運営に大活躍してくれた菅野ゼミ生と一緒に |