語学教育専攻FD研修会を開催
―藤田保教授(上智大学)が英語教育改革と新しい入試について講演―
文部科学省の英語教育改革の一環として「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)として4技能の新英語テストを2020年に実施、2019年には高校2年生と3年生を対象に「高等学校基礎学力テスト」(仮称)の実施が発表され、英語教育界は大きく変革しようとしています。
本学の語学教育専攻は、今後予想される英語教育改革に対応するために、平成28年2月1日(月)に午後4時30分から6時30分まで、本学総合研究所にてFD研修会を実施し、43人の教職員、学生、学外中学教員、高校教員が参加しました。
同FD研修会では、藤田保上智大学言語教育研究センター教授が「英語教育改革の現状と今後の展望~入試改革の動向を踏まえて~」という演題で講演を行いました。藤田教授は、TOEFL iBTにおける日本人の点数の低さ (アジア地区、30か国・地域で27位、 2014年資料) や2020年開催の東京オリンピックなどを背景に、国際的水準の英語力を育成するために、スピーキングとライティングを含む4技能英語能力試験が2020年の大学入学試験から導入される経過と現状を豊富な資料を用いて説明しました。
特に、藤田教授は上智大学と英語検定協会で開発された4技能測定テストのTEAP (Test of English for Academic Purposes)について、試験結果の分析と大学における採用例などについて報告しました。
さらに藤田教授は、講演の中で「英語を習得するのみではなく、何について英語で発信することが大切」、「教師が英語で話し続けることが英語の授業ではなく、生徒が英語で話しているかどうかが重要である」などの示唆に富む指摘が多くありました。参加者の感想からは、「英語教育の最新の情報が入手できて感謝している」、「英語の授業について改めて考える機会となり今後の英語教授に役に立った」などの喜びのコメントが目立ちました。
このFD研修を通して、新タイプの4技能英語試験に対応するために本学でも英語の講義において統合的アプローチ(例:英語で読んだ内容について書いたり、話したりする)をカリキュラムに本格的に導入する必要があると感じました。
最後に私見だが忘れてはならないことは、4技能英語能力試験を導入しても日本人の英語能力が国際水準に達しなければ成功だとは言いがたい。これまでの英語教育の議論で欠落しているのは、国際舞台で活躍できる英語能力を育成するという日本が数十年間なし得なかった教育目標を原点から問い直すことではないでしょうか。
総評:渡慶次 正則(国際学群 国際文化教育研究学系 教授)
講師の藤田教授 講演を傾聴する参加者