皆さん、こんにちは。
一言、ご挨拶を申し上げます。本日は挨拶を書いてきましたので、それを読ませていただきます。
本日、名誉教授号を授与されました平識善盛先生、稲垣絹代先生、名誉教授号、まことにおめでとうございます。また、お祝いに駆けつけてくださいました第二代学長東江平之先生、第四代学長瀬名波榮喜先生には心からの御礼を申し上げます。さらに、学期末の多忙な時期にもかかわらずご参加くださいました教職員の皆様にもお礼を申し上げます。
名桜大学の名誉教授選考基準は、以下の4つです。
(1)本学の学長として大学運営に功績のあった者
(2)本学の教授として20年以上勤務し、特に教育及び学術上の功績のあった者
(3)本学の教授として20年未満の者で、特に教育及び学術上の功績が顕著であった者
(4)本学の教員として大学運営等に特に功績のあった者
平識先生と稲垣先生は、この中の(3)と(4)に該当いたします。
平識先生は開学いらい本学の教員として勤務され、スポーツ健康学科の創設、発展に尽力され、教務部長やエクステンションセンター初代センター長として、顕著なご功績を残されました。先生は、陸上競技では沖縄ではたいへん著名なアスリートでもあります。先生が若い頃に作られた沖縄県記録の中にはまだ破られてないものもございます。
稲垣先生は、人間健康学部長、看護学研究科長として、看護学科の発展と本学の教育・学術的発展に顕著なご功績を残されております。地域貢献も、名護の朝市での健康相談、那覇の与儀公園の野外生活者(いわゆる「ホームレス」)の健康問題への配慮など、先生らしい活動も高い評価を受けておられます。お二人のこのようなご貢献に対して、本日、名誉教授号が授与されたということでございます。
さて、私は40年近くアメリカ文学・文化を研究し教えてまいりましたので、もうこれは職業的な病のようなものでありますが、一つの言葉を聞くと、すぐに英語では何というのだろう、いつ頃できた言葉だろうと考え、辞書を引かないと落ち着きません。「名誉教授」は、英語ではprofessor emeritus、またはemeritus professorと言います。emeritusはラテン語から派生した言葉で、語源的には<兵士が勤務年数をきちんと終えた>という意味があるようです。そこから「勤務年数をきちんと勤めて功績のある大学教員」をprofessor emeritus、日本語では「名誉教授」と呼ぶようになりました。
世界最大の英語辞典Oxford English Dictionary (『オックスフォード英語辞典』、略称OED)によれば、この言葉の最も古い用例は1794年のアメリカの文書から採られたもので、"Emeritus professor of divinity" (神学名誉教授)だということです。ですから、これはアメリカ英語で初めて使われた言葉のようです。また、英語で<名誉教授>を意味するこの称号は、18世紀末あたりから使われ始めたということになります。(残念ながら日本語の「名誉教授」という言葉の初出を明確に示す辞書はありません。)
Professor emeritusは形容詞が名詞の後ろにくるラテン語のかたちを保っていて、emeritus professorは形容詞が名詞の前に置かれる英語のかたちです。稲垣先生に例を取りますと、先生はProfessor Emeritus of Nursing、あるいはEmeritus Professor of Nursingになられました。平識先生の場合はProfessor Emeritus of Physical EducationまたはEmeritus Professor of Physical Educationとなります。
このように考えますと、本日、新しく名誉教授号を授与されたお二人は、長い歴史を持つ世界の学問の伝統の中に迎えられたということになります。これはたいへんすばらしいことだと考えております。心からお祝いを申し上げます。
名誉教授は、本学の諸行事への招待、本学が発行する出版物の提供及び施設の利用の便宜を受けることができる、と本学の規程に書いてあります。ですから、名桜大学の名誉教授は、退職されても大学と強い絆で結ばれているということになります。
平識先生、稲垣先生、今後とも名桜大学へのご指導、ご鞭撻を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。お二人のご健康とますますのご活躍を祈念いたしまして、簡単ですが、お祝いのご挨拶といたします。本日はまことにおめでとうございます。
ご静聴、ありがとうございました。