平成22年度・平成23年度 人間健康学部 看護学科 臨地実習報告
基礎看護実習 I
この実習の目的は、患者の安全・安楽と自立を考えながら看護を行い、そのことを通して、人間を尊重し、援助関係を築き自らが主体的に看護する意味について考えることである。県立北部病院・北部地区医師会病院・国立療養所沖縄愛楽園・もとぶ野毛病院・北山病院の5施設で、1グループ5〜7人で15グループを編成し、2週に分けて8人の教員で指導した。学生は患者さんが感じている不安や寂しさ、身体的な苦痛や不自由さを実感し、誠実に思いやりをもち患者さんを尊重して看護をする。その間、学生の大多数には「患者さんのために役立ちたい」「患者さんが少しでも楽になれるように援助したい」という看護の心も芽生える。患者さんの日々の変化や「ありがとう」の一言から学生は看護の意義を発見し、2年次に向かって新たな学習意欲を掻き立てられる実習となっている。
教員は患者さんの協力と看護師長や臨床指導者の的確なアドバイスなど、臨床ならではの教育に感謝しつつ、患者さんの心を明るくする看護を実践する学生の成長に喜びを感じる実習となっている。
総評:加藤 久美子(看護学科 教授)
"やりがい"のある仕事
新城 一華 (1年次、コザ高校出身)
今回、基礎看護実習 I を終えて改めて気付かされたことは、看護職は"やりがい"のある仕事だということです。看護師は、細々とした日常生活の世話に追われながらも、患者さんの一番近くに居て、身体だけでなく"こころ"のケアも行えるからです。
基礎看護実習 I が始まる前の私は、医療従事者になりたいという気持ちが薄く看護職を志した理由を見失い、本当にこの道を進んでよいのか悩んでいました。しかし、今回、もとぶ野毛病院に実習に行き、直接患者さんとふれあい、教員や指導看護師の熱心な指導の下、医療の道を志した理由を再確認することができました。今回の実習では患者さんへの安全の配慮が欠け、技術の面においては様々な課題も実感しました。それでも患者さんは「ありがとう」と笑顔で応えてくれました。この実習のおかげで技術に関することだけでなく、臨床に向かうための心得や目標を貫く精神的な強さも共に学ぶことができました。実習を受け入れてくださった患者さんや指導者の皆様、一緒に実習を頑張ったグループメンバーに感謝しています。
基礎看護実習 II
基礎看護実習 II は2年次後学期に行う、看護過程という方法論を使って科学的、個別的、系統的な看護を実践するための実習である。この方法論は今後の各看護学領域の実習の基礎理論となる実習でもある。実習は看護学概論、看護実践方法論、看護技術 I・II、援助的関係論、看護理論、ヘルスアセスメント等の基礎看護学を統合して行う実習であると共に、基礎看護実習 I での感性的な実習を学問的に意味づける実習ともなる。学生は受け持ち患者さんを観察し、情報収集とアセスメント、看護診断、看護計画立案、看護実践、評価と一連の枠組みを通して患者さんに看護を提供する。学生は科学的な看護を実践するために解剖学や生理学、病理学、内科学、外科学、薬理学、栄養学、心理学、社会学等1年次から学んだ学問を使ってアセスメントや看護計画立案をすることが求められる。そのため学生は夜を徹して実習準備をしなければならない程である。そのため学生の看護は患者中心の看護となり、患者さんから良い看護の評価をいただくことが多い。臨床指導者からは専門的な指導を得て、学生は看護の専門性と責任を学び、専門性の高い各看護学を学ぶように動機づけられ実習は終了する。
総評:加藤 久美子(看護学科 教授)
患者の心理的側面を理解して看護すること
村吉 しおり (2年次)
基礎看護実習 II では、北山病院で2週間の実習をさせていただいた。基礎看護実習 I とは違い、主に看護過程を展開していくことが求められる実習である。私は常に「看護過程を展開していく」ことを意識していたため、カルテや患者の身体的側面に目が行き、目の前に掲示されている情報だけを頼りに患者の状態をアセスメントしていた。確かに、カルテ等目に見えている情報から看護過程を展開していくことは容易である。しかし、患者との関わりを通して、そのような看護は患者ではなく看護者側が主体となってしまい、患者の心理的側面を無視した行為だということに気が付いた。つまり、看護は患者が主体であり、人間一人ひとりが違うようにそれぞれに合った個別性を考慮した看護を行う必要がある。そのために看護師は、目に見えている情報の他にも患者の何気ない表情や発言、それらの奥に隠されている意味(心理的側面)を理解するよう努力しながら関わりを持つことが必要であることを学んだ。
北山病院での実習生一同とお世話になった臨床指導者の方と
小児看護実習
小児看護実習は保育所実習、病院・施設実習合わせて2週間(2単位)の科目です。実習では、気付くこと、考える事、統合する力を身に付けることを目標にしています。
保育所実習は名護市内10か園で行い、健康な子どもの日常生活、遊びや生活を共に経験することにより、対象である子どもの理解を深めるようにしています。
病院実習では、病気や障害のある子どもにどのような看護を提供すれば良いのか、対象理解、疾患や障害の理解、看護の意味を探求してもらいます。県立北部病院、県立中部病院、小児発達センター、名護療育園の4施設を利用していますが、総合病院の小児病棟、障害児施設での実習と、施設により対象疾患や看護の方法が異なり、個々の学生の学びにも施設特性が影響します。しかし、子どもという対象に対する看護は共通です。学生は目の前の子どもに何が必要か、どのような援助を実践すればよいのか、戸惑いながらも一生懸命関わり、大きな学びを得ています。
少子化による実習への影響や子どもの権利擁護の視点、学生自身の生活力の不十分さなど、小児看護実習は大きな課題を抱えていますが、楽しい実習をモットーにすすめています。
総評:金城 やす子(看護学科 教授)
子どもを守り、可能性を伸ばす事のできる看護師に!
鯉淵 乙登女 (3年次、北海道・滝川高校出身)
実習はとても楽しく、机上の勉強だけではわからない多くのことを感じ、学ぶことができました。特に、子どもたちの成長発達段階に合わせた関わりがその子の成長発達を促し、秘めた可能性を伸ばすことにつながるということを学べたことが大きかったと感じています。また、子どもは社会的に守られる存在である一方、病気や障害、社会情勢によって権利を侵害されやすい存在でもあるということに気付きました。そのため、「児童(子ども)の権利に関する条約」が批准されたことはとても重要なことだということがわかりました。
実習中、重い病気や障害がある子どもの生きるとは何かということを考える機会がありました。その答えはまだ見つかっていませんが、子どもたちの可能性や「遊びたい」「学びたい」という気持ちと権利を尊重・保障できる看護師になれるよう勉学に励む中で、答えを見つけていきたいと思います。
精神看護実習
3年次が参加する精神看護実習は、金武町の独立行政法人国立病院機構琉球病院と本部町のノーブルメディカルセンターの北部地区の2施設でお世話になっています。実習初日は、初めての精神科病院で緊張感を漂わせている学生たちですが、患者さんから声をかけていただき、一緒に活動や外出に行くことで、スムーズに患者さんと交流をもてるようになっていきます。「患者さんが話してくれない」等、当初は学生の困り事中心のカンファレンスが、次第に、「患者さんは何がつらいのだろうか」と患者さんに焦点を当てたカンファレンスに変わり、毎日、毎日患者さんのために何ができるのだろうか、何が、より良い援助なのだろうかと可能性をさぐっていきます。学生たちの真摯な取り組みは、臨床の看護師さんから「自分も初心にかえって看護に向き合うことができた」等の評価をいただいています。毎回の学生主催のレクリエーションも大盛況です。患者さんにも現場の皆さんにも喜んでもらえ、学生自身も手ごたえを感じられる実習を行うことができるように、これからも努力したいと思います。
総評:鈴木 啓子 (看護学科 教授)
伊礼 優 (看護学科 講師)
平上 久美子(看護学科 助教)
沖縄そばを患者さんと一緒にいただきました。 クリスマスのレクサンタさんは看護師さんです
この後学生主催の魚釣り大会をしました
精神科看護実習を通して
久高 翔太 (3年次、前原高校出身)
精神看護実習はノーブルメディカルセンターで行いました。病棟には、長期入院患者さんが多く、患者さんのこれまで生きてこられた経験を想像しながら必要な看護を検討し、援助していくことが重要でした。しかし、それは容易なことではなく、沢山の時間と根気が必要でした。患者さんに関心を注ぐとともに、無理をせずに、信頼関係を築きながら、時間をかけて何度もアプローチしていくこと、患者さんの病気だけに着目するのではなく、健康的側面にも着目しながら関わっていくことが重要とわかってきました。学生主催のレク(写真)では、皆で沖縄そばを食べ、魚釣り大会を行い、大盛況でした。いつもと違った患者さんを知るきっかけともなり、患者さんにとっても私たち学生にとっても、とても意義のある時間でした。普段病棟では感じることのできない風を吹き込むことができてよかったと感じました。
最後に、精神科での実習は、ここで語ることのできないほど、たくさんの気付きと学びがありました。将来、精神看護の分野を専門に働いていきたいという思いを、より一層高める機会となり、とても充実した実習になりました。
母性看護実習
母性看護実習は、ハートライフ病院、南部徳洲会病院、県立中部病院、やびく産婦人科・小児科の4施設で実習を行いました。
母性看護実習は、対象者の経過が早く、看護展開は母親と新生児について同時に行われること、正常な状態から逸脱しない看護を提供することが求められます。また、妊娠期の看護を学習するために産婦人科外来の実習が行われています。
沖縄県北部地域の場合、母性看護実習の実習施設については、産科医療の過疎地域であるため中部・南部地域まで臨地実習をさせていただいています。学生にとっては遠方の臨地実習であるにも拘わらず、産褥期の対象者を受け持ち、母子一体の看護過程の展開を頑張っていました。そして、臨地実習中は、沐浴を体験し、出産の場面に遭遇した学生もいました。今後は、北部地域で母性看護実習が行えるよう、大学として産科医療の過疎化について研究的視点から社会貢献ができるように努力していきたいと考えております。
総評:高津 三枝子(看護学科 助教)
母性看護実習を通して学んだこと
奥田良 成未 (3年次、具志川高校出身)
母性看護実習で受け持たせていただいた患者さんは、経産婦で、妊娠27週の妊婦健診の際、子宮頚管短縮のため安静目的で入院していました。私の姉も妊娠期に切迫早産で入院し、母性看護実習中に分娩しました。
受け持ちの患者さんは、1か月以上入院しており安静が必要だったので、ケアとしてはベッドサイドでのコミュニケーションやNSTの実施、妊婦健診へ参加しました。母体は健康であるため、胎児のために安静で過ごすということがとても苦痛だろうと感じました。しかし、患者さんは胎児を守るために頑張っているのだなと感じることができました。
この実習で、異常なく胎児や妊婦が過ごせるように妊娠中の健診や指導が重要になってくること、母親や新生児の退院後の生活に向けた医療者の指導や関わりが重要になることを学ぶことができました。私も入院中の患者のことだけでなく、問題なく妊娠期を過ごせる関わりや退院後の生活も考えたケアができる看護師になりたいと思いました。
療養生活支援実習
本実習では、慢性的な経過をたどる健康障害により、生涯にわたり生活のコントロールを必要とする成人期の患者・家族を対象に、セルフケア能力の維持・向上を目指した最適な看護実践に必要な能力および態度を学習します。慢性疾患は、これまでの生活習慣に起因する場合が多く、入院治療により症状が改善しても、退院後の生活習慣改善や、食事療法・運動療法・薬物療法を継続実施するセルフマネジメント(自己管理)が重要です。そのため慢性疾患を有する患者・家族には、疾患の理解度、受容段階、レディネス(学習準備状況)等を査定し、患者・家族と共に生活を振り返り、共に目標を立て、行動変容理論等を用いてセルフマネジメント能力を高める援助が求められます。学生の関わりにより、疾患に向き合い、セルフマネジメントへの関心が高まる患者が多数見受けられました。これは、学生の取り組みだけでなく、現場の看護師の関わり、患者様・ご家族の協力の賜です。ご協力いただいた皆さまに心からお礼申し上げます。
総評:金城 利雄 (看護学科 教授)
武藤 稲子 (看護学科 講師)
清水 かおり(看護学科 講師)
西田 涼子 (看護学科 助手)
療養実習を終えて
比嘉 朝海 (3年次、那覇高校出身)
今回の療養実習では、循環器病棟で実習を行い、慢性疾患をかかえた成人期の患者さんを受け持たせていただきました。成人期の男性を受け持つのは今回が初めてで、最初はコミュニケーションの取り方がわからず患者さんとの信頼関係をどう築いていけばいいのかとても悩みました。患者さんと関わる中で、働き盛りの成人男性がこれまで病気とどう向き合い、受容し、そして今後の生活をどう考えているか、私なりに一生懸命患者さんの立場になって考えていきました。そして日々のケアや散歩等同じ時間を共有していくうちに、少しずつ胸のうちを話してくださるようになりました。また、慢性疾患をかかえる患者さんは、入院中だけでなく、退院してからも自分の病気と向き合っていかなければなりません。私は2週間『どうすれば、退院後も患者さんが自分の病気のリスクを理解し、日常生活の中でセルフケア能力を高めることができるのか』を考えながら実習に臨みました。患者さんの自宅での様子や生活環境、仕事や家族背景を把握し、退院後の自立を考えた援助を心がけ、退院時には、自宅での生活上の注意点をパンフレットにして作成し、保健指導を実施することができました。退院当日、患者さんと一緒に入院前の自宅での生活を振り返り、患者本人から「今度はこういうところに気を付けないといけないね。頑張ってみるよ。ありがとう。」という言葉をいただき、そして笑顔で病院を後にして行かれました。
今回の実習では、慢性疾患をかかえる成人男性の病気の受容と不安を表出する難しさ、そして入院中からも退院後をイメージしたセルフケア能力を高めるための援助の方法を学ぶことができました。最後に笑顔で退院していく患者さんを見送ることができたのは、私にとって貴重な体験であり、学びの深い2週間となりました。
高齢者看護実習
高齢者看護実習は、「高齢者の身体的・精神的・社会的側面をとらえ、生涯発達することを理解し、加齢による生活の変化および特徴的にみられる健康問題を持つ高齢者に対して、生活の質の維持・向上を目指した看護実践能力を養う」ことを目的に、3年次の後学期に介護老人保健施設(桃源の郷、和光園、あけみおの里)と療養型医療施設(野毛病院、勝山病院、北山病院)で実施された。
初めて認知症高齢者を受け持った学生は、認知症高齢者の周辺症状である攻撃性や同じ話の繰り返しに戸惑い、苦しみながら、「どうしてこのような行動をするのだろう...」と日々、高齢者の理解に努め、看護とは何か...模索していたようである。高齢者と真摯に向き合う中で、またカンファレンスでの深く、熱い仲間とのディスカッションや教員・指導者のアドバイスを通して、認知症のあるなしにかかわらず、「その人が生きてきた生活史に目を向けると、その人の行動の意味が見えてくる」「高齢者の自尊心を尊重する」「高齢者は個人差が大きく、多様である」「持てる力を引き出す」ことを学んでいた。看護職を目指すものとして自己の姿勢や態度について考察し、自身の高齢者看護観を見出していた。未来永劫!頼もしい限りである。これからも成長し続けてほしいと思う。
総評:永田 美和子(看護学科 准教授)
高齢者看護実習を終えての学び
山城 志帆 (3年次、北山高校出身)
高齢者看護実習でKさんを受けもたせていただいた。Kさんは脳出血の後遺症により、左片麻痺があり、気管カニューレと経鼻栄養のチューブを挿入していた。学生が主体となり企画したボウリングのアクテビティケアを実施した時のことである。Kさんの右手は筋力の低下があり、補助具の必要性が考えられていた。しかし、私たちの予測とは異なり、Kさんは右手でボールを持ち上げ補助具なしでストライクを出し、その後、手を挙げ喜ぶ姿があった。それは、ベッド上で寝たきりの普段の様子からは見ることのできないKさんの姿であった。
患者さんの持つ力は、無限であり一つの場面でできないであろうと先入観を持つのではなく、その人ができる方法を考え、環境を整えた関わりをすることで、普段は表出されていない患者さんの力を引き出すことができるのだと感じた場面であった。
これらの体験から私は、患者さんの持つ力や残された能力を引き出せるように関わり、その人の生活がより良いものになるように、患者さんの立場になって考えることができる看護師になりたいと思った。
ふれあい看護実習
平成22年度から、ふれあい看護実習は、北部の名護市、本部町、今帰仁村、大宜味村、国頭村、東村の6市町村の16地区を実習地区と指定して、ゼミ単位で実習を行う内容に変わりました。学生たちは、6月の読谷村と北部の戦跡巡り、9月の愛楽園見学、9月から12月までの地区活動を通じて、地域で多くの人々と交流し、平和の大切さや偏見の怖さ、教育の大切さ、地域の絆やケアリング文化を学ぶことができ、達成感や満足感も高かったと感想を述べていました。公民館や老人会、社会福祉協議会、役場の人々等、どの地区でも多くの人々の協力が得られたおかげで、良い実習ができたといえます。1月の発表会も学生が自主的に行い、教員が目を見張るほど内容も素晴らしいものばかりでした。次年度も実習地区を同じにして、地域への継続的なかかわりができるようにする予定です。地域の人々に学びながら、北部地域の健康課題を自分たちで探索していく1年次の最初の実習でした。
総評:稲垣 絹代(看護学科 教授)
生活や地域の絆を学ぶフィールドワーク
下地 由梨佳 (1年次、前原高校出身)
ふれあい看護実習では、歴史と平和の学びの戦跡巡り、愛楽園でのふれあい体験、地域でのふれあい体験で様々なことを学びました。地域でのふれあい体験では、地域の方々とふれあい、生活や地域の絆を学ぶフィールドワークがあり、その中で私たちのゼミは大宜味村塩屋地区を選びました。塩屋区の方々は、人とふれあうこと・話すことが楽しみや生きがいになっていると話してくれ、友達と会うことや人と話をすること、笑うことが長寿の秘訣だと教えてくれました。健康とは、身体面だけでなく精神面・社会面もしっかりしていることで成り立っているのではないかと感じました。また、地域の行事等に参加することによって、より人と深く関わることができ、地域の絆を知ることもできます。私は、塩屋区の方々から改めて文化伝承の重要性や人と関わることの大切さを学ぶことができました。人と関わることで楽しみができ、新しい自分の発見もできると思います。このふれあい看護実習で学んだことを、今後の実習や臨床の場で活かしていきたいです。そして、今後も地域の方々とのふれあいを大切にしていきたいと思いました。
地域看護実習
地域看護実習は、4年次に行われる保健師教育課程の実習(3週間)です。実習では、地域で生活するすべての住民の健康権を、住民及び関係職種と共に協働し、健康課題を解決する等保健師業務を学びます。平成23年度は6月〜7月に保健所4か所、市町村25か所(北部の離島3村を含む)の合計29か所で、それぞれ2〜4人の学生を配置して実習を展開いたしました。
地域の歴史、文化、社会的背景、個々人の生活の質を尊重した保健師活動は、地域を見て歩き、住民と語らい、住民のニードに即した保健事業を住民と共に創り出す等、保健師の指導の下、実体験することができました。集団の健康課題に焦点を合わせた健康教育、特定健診や乳幼児健診等への参加、個々の健康課題に向き合う健康相談、健康生活を支援する家庭訪問等、指導保健師及び関係者による具体的な援助指導が行われました。おかげで、学生の学びは深くすばらしい地域看護実習となりました。
総評:永吉 ルリ子(看護学科 教授)
顔が見え、生活が見える地域看護実習
知念 賀菜子 (4年次、球陽高校出身)
東江 春奈 (4年次、向陽高校出身)
私たち2人は、伊是名村において市町村保健師の役割、地域の関係者・関係機関との連携、地域住民との関わり方等を学びました。
地域看護実習では、住民のニードに即した講演会・研修会、乳幼児健康診査、健康相談、健康教育等保健師業務に参加し、具体的な保健指導の展開方法を実体験しました。
こども部会、高次機能障害研修会等保健事業に参加し、住民・行政・専門職等との連携の必要性について学ぶことができました。また、特定健診結果説明会では、個々人の生活リズムや食生活を確認し指導することの大切さを学ぶことができました。
離島においては、インターネットよりも情報が早く島全体に伝わります。島民が皆知り合いで、地域の行事は島民全員が参加します。そのことは、保健師側からすると顔が見え、生活が見えます。そして、区長さん等地区組織の協力で、保健事業をスムーズに行うことができます。
離島では、専門家がいないこと、施設が整っていないこと等があります。様々な職種の協力を得なければならないことが多くあります。市町村保健師2人で、住民の健康支援をしているため、他職種に繋げることも大切になってきます。
島民一人ひとりがお互い支援者となり分かち合うこと、各機関との濃厚な連携及び調整が必要不可欠であること等、数多く学ぶことができました。