沖縄の公立大学 名桜大学(沖縄県名護市)

研究コラム(つながる、つなげる教員の輪)研究

新しい技術を新しい発見につなげる

玉城 将/人間健康学部 スポーツ健康学科/掲載日:2017年6月

新しい技術を新しい発見につなげる

玉城 将(人間健康学部スポーツ健康学科 助教授)

 科学的な研究は、利用できる技術によってその内容が制約されます。ある現象の仕組みを解明したい時、私たちはその現象に影響を与えそうな要素を数値化します。数値化することで、その要素の特徴を正確に捉えられます。この「数値化」に特別な計測技術が求められることがあります。私は卓球を研究対象としていますが、卓球ボールの運動(回転や速度)の数値化は、まさに特別な計測技術が求められる好例です。文字数の都合上(私の文章力の都合上)その詳細は説明できませんが、実はその特別な計測技術は実際の競技会では非常に利用し難い欠点があります。そのため、これ以外に利用できる技術がない場合、「競技会ではボールの運動は計測できない」ということになります。事実、卓球では間違いなくボールの運動が得点に強く影響しますが、それを数値的に示した研究はありません。利用できる技術による制約の一例です。

 「必要な技術がないなら、自分で作る」そういう考え方をするのが工学であり、特にスポーツへの応用を目的とした場合には「スポーツ工学」と呼ばれます。学生の頃、私が実施したい分析に適したソフトウェアが無かったので、プログラミングを勉強して自作しました。その後はボールの運動に目を向け、実際の競技会でもボールの運動を簡易に計測できる技術を開発しました。この技術を応用し、ボールの運動が卓球の得点に与えている影響を解明することが、いま主に取り組んでいる研究です。このような私の研究はスポーツ工学に分類できます。

 技術を作るところから始めると、最終的な成果にたどり着くまでに時間がかかります。その短所を踏まえても、技術の開発に取り組む価値はあると考えています。歴史を振り返ると、革新的な成果を残した多くの科学者は優秀な技術者(工学者)でもありました。新しい技術は、新しい発見につながります。それを信じ、革新的な成果を夢想して日々研究に取り組んでいます。

    

2017年6月

玉城 将(たまき しょう) (人間健康学部スポーツ健康学科 助教授)
 沖縄市に生まれ、高校卒業後に県外へ進学。学生時代に必要に駆られて始めたソフトウェア開発を機に工学の魅力にハマる。本コラムは、ソフトウェア開発に没頭して時間をかけ過ぎる自分の正当化かもしれない。研究と教育に携われていること、そして家族と過ごす時間に幸せを感じ、日々を過ごしている。

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